



北海道・札幌で1973年に開店。『カリーハウス
コロンボ』は、週に3回は通うというほどの常連もめずらしくない。札幌駅直結という利便性もあり、出張で札幌を訪れるサラリーマンのファンも多く、全国にその愛好者がいる。
「でもね、うちのカレーって突出した特徴はなくとてもシンプルなんですよ。ごくごく、家庭的な味。シンプルだからこそ、毎日でも食べたいと言ってくれる人がいるんじゃないかな」と語るのは、二代目オーナー店主の藤井亜生子さん。
しかし本当にただシンプルなだけのカレーであれば、これほど多くのファンは獲得できない。ベースとなるソースのポイントは、まず大量の玉ねぎだ。ざく切りにしたものをにんにく、しょうがとラードで炒め合わせ、その後にじっくりと煮込んでいく。
「ここから、トマトピューレ、ブラックペッパー、フルーツチャツネ、カラメルソース、中濃ソースを加えて味つけ。辛みは一味唐辛子を使っています」
味わいと香りは複雑だが、あくまでスッキリした仕上がりを目指している。



「食べやすい、サラッとしたカレーがうちの味。この店を作った母の考えなんです」と藤井さん。食べた後にもたれない、爽快な食後感がキーワード。コクと酸味のギリギリのバランスが、コロンボ流なのだ。
だがそのバランスこそが、製品化の難所ともなった。担当したハウス食品開発研究所の髙橋健さんは「難しかったです」と切り出した。
「煮込まれた玉ねぎの味わいが大事ですが、甘みが出過ぎてもいけない。カレーですからコクも必要だけれど、そこを立たせ過ぎると特徴である酸味が前に出てこなくなりますからね」
かけ離れてはいないのだけれど、微妙に違う。「評価でいえば70点」と、厳しい出来が続いた。





「酸味、塩気、スパイス感、旨み……何かが突出するわけじゃない。だけど、一口目にガツンとくるおいしさはしっかりとあるんです」
確かな満足感は与えるけれど、目立った個性で勝負するわけじゃない。それぞれの要素がナチュラルなバランスでまとめられているのが魅力なのだと、髙橋さんは分析した。何度となく調整と試作を重ねて、ようやくOKが得られる。
「『カリーハウス
コロンボ』のカレーは家庭的な味だけど、やっぱり家じゃ作れない味。手間をかけて、大量に仕込むからこそのおいしさですね」と髙橋さん。最終的な出来ばえには藤井さんも「これなら、遠方に住んでいるうちのお客さんも喜んでくれるはず!」と笑顔を見せた。




ご家庭でよりおいしく食べるポイントを、藤井さんに教えてもらった。
「うちのトッピングで一番人気はゆでたまご。スライスしたたまごをのせるとグンとコロンボ感が出ますよ。スライスしたたまごって、カレーによく合うんです」
また、カレーのつけあわせといえば福神漬けが定番だが、『カリーハウス コロンボ』では福神漬けと一緒に、お寿司でおなじみのガリも添えている。
「そう、ガリって意外にもカレーと相性がいいんですよ!うちのお客さんもガリのファンが多いんです。おうちで召し上がるときも、ぜひお試しください」

