シチューをもっとおいしく食べるためには?基本のテクニックからひと手間まで、みんなの疑問に答えます

クリームシチューの画像

家庭料理の定番ともいえる、とろとろの「シチュー」。具材を切って鍋に入れ、火にかけたらあとは簡単! 鍋ひとつで作ることができ、どんな具材でも優しく包み込んでくれるのがシチューの魅力です。そんなシチューをもっとおいしく食べるためのヒントをQ&Aでご紹介。覚えておきたい基本のテクニックから、シチューのおいしさを底上げするひと手間まで、お役立ち情報が盛りだくさん! ぜひ今日から試してみてください。

おさえておきたい、シチューのキホン

クリームシチュー、ビーフシチューのイラスト

シチューを作る時は、どんな鍋を使うのがよいでしょうか?

シチューのように煮込む料理には、厚手の鍋が向いています。厚手の鍋は、熱が均等に伝わりやすく保温性もよいので、途中で材料を加えても温度変化がゆるやかなのです。

牛のすね肉など長時間煮込む必要のある具材は、あらかじめ圧力鍋で加熱すると調理時間が短縮できるのでおすすめです。

また、鍋はもちろん、フライパンで手軽に作れるようなシチューレシピもありますので、ご自身にあった調理器具でシチュー作りを楽しんでみてください。

乳製品では、どんなものがクリームシチューに合いますか? 入れるタイミングも教えてください!

牛乳、生クリーム、チーズ、バターなど、甘みのないものであれば、たいていの乳製品はシチューによく合います。「仕上げのタイミング」で入れるのがポイントです。牛乳や生クリームなどは、最初から加えてしまうと野菜が柔らかくなりにくく、乳製品の風味を損なうことがあります。煮汁にある程度とろみがついてから乳製品を加えることで、煮汁の中のでんぷん質が薄い膜を作り、乳たんぱくや乳脂肪の粒子を細かく分散させるので、なめらかな食感に仕上がります。

また、乳製品ではありませんが、牛乳の代わりに豆乳を使うこともできます。風味やコクが欲しい時は、成分調整豆乳を使うのがおすすめ。豆乳は、加熱しすぎると、たんぱく質がかたまって分離しやすくなるので、煮込みすぎないように注意してください。

シチューの可能性は無限大! いろんな具材をおいしく食べる

食材のイラスト

シチューに入れる具材は、煮込む前に炒めた方がよいのでしょうか?

野菜は炒めてから煮ることで、甘みや油で炒めた風味が増します。まわりを焼いておくことで、煮くずれもしにくくなります。

肉は、ある程度高温で表面の色が変わるくらい焼くことでうまみを閉じ込めます。クリームシチューはソースに色がついてしまうので、焼き色をつけすぎないよう気をつけましょう。ビーフシチューの牛肉は、ある程度火が通るまで焼いた方が柔らかくなりやすいので、焼き色がつくまで焼くのがおすすめです。

玉ねぎ、にんじん、じゃがいも以外では、どんな野菜がシチューに合いますか。

キャベツ、芽キャベツ、白菜、チンゲン菜などは、煮くずれしにくいのでシチューにはぴったり! きのこも煮込むことでうまみのある仕上がりになりますよ。意外なところでは、和のイメージがある、里いも、大根、かぶ、ごぼう、たけのこなども。やさしい甘さがまろやかなシチューとよく合います。

シチューに入れるなら、どんな肉がおすすめですか?

基本的には、牛肉なら筋肉質で筋が多く、長時間煮込むことによって柔らかくなる肉のほうがシチューには向いているといえます。また、脂肪の少ないもも肉よりも、肩ロース肉やすね肉など、脂肪やゼラチン質を多く含む部位は、しっかり煮込むことによって柔らかい食感になり、煮汁にもうまみが溶け出してコクのある仕上がりに。

逆に鶏肉はむね肉よりもも肉の方が脂肪があるので、柔らかく仕上がります。肉の種類別おすすめ部位は下記も参考にしてみてください。

肉の種類別おすすめ部位

牛肉
すね肉、肩ロース肉、ばら肉、テール、タンなど
豚肉
肩ロース肉、ばら肉など
鶏肉
もも肉(骨つきでも可)、手羽元、手羽先など

スワイプできます

シチューに魚介類を入れてもよいでしょうか? 調理のポイントなどがあれば教えてください!

白身の魚、ほたて貝やはまぐり、かきなどの貝類、えびやいかなどは、特にクリームシチューによく合います。

魚介類をシチューに入れる時は、さっと炒めたり蒸し煮にしたりして、最後に加えるのがコツ。長時間煮込むと、身がかたくなったり、煮くずれの原因に。温め直す際も、加熱しすぎないように注意しましょう。

※ただし、殻つきのえびやかに、鯛などの頭、魚肉のすり身などは、煮込むとうまみが出てくるので、具材によっては長時間煮込むこともあります。

シチューに冷凍の素材を使ってもよいでしょうか?

もちろんです! 冷凍野菜やきのこ、魚介類などは常備しておくと便利です。魚介類はシーフードミックスなども使いやすいですよ。

変わり種として、冷凍のフライドポテトなどもシチューの具材として使えます。一度加熱されているので、短時間で火が通ります(油分が気になる時は熱湯で油抜きしてから使うとよいでしょう)。

野菜は凍ったまま、シーフードミックスは解凍してから鍋に入れて使うようにしましょう。

いつものシチューをもっとおいしく。今日から試したい「プラスひと手間」

鍋で調理をしている画像

シチューにスパイスを使う場合は、どのように使えばよいでしょうか?

ホールのものは香りが飛びにくいため、最初に加えて煮込むと、香りや風味がつきやすくなるでしょう。パウダータイプは、粒子が細かいので、仕上げに加えると香りを立たせたり、補ったりすることができます。

また、スパイスを肉の下ごしらえとしてすり込んだり、スパイスを加えたマリネ液を作って肉を漬け込んだりすると、臭みをおさえることができます。

スパイスとシチューを組み合わせた料理は、実は世界中にあります。パプリカを加えてハンガリー風に、クミンで中近東風に、チリパウダーでメキシコ風に、などそれぞれの地域でよく使われるスパイスを加えることによって、手軽に「世界のシチュー」と近い風味を再現できますよ!

シチューに加えるなら、どんなお酒が合いますか? またお酒を加える時の注意点を教えてください!

牛肉を使うビーフシチューには赤ワイン、鶏肉や魚介類を使うあっさりとしたクリームシチューには白ワインなどが合うでしょう。また、シェリー酒やビールを加えることもありますし、中国料理では紹興酒などを使うことも。

特にヨーロッパの煮込み料理でよく使われる赤ワインは、煮込むとコクや深みを出してくれます。また、肉を赤ワインに漬け込んでおくと、赤ワインに含まれる酵素のはたらきによって肉が柔らかくなるというメリットもあります。

また、白ワインは魚介類やきのこなどの具材の風味づけによく使われます。炒める時に白ワインを加えることで、香りが立ち、うまみがアップします。

酒類をシチューに加える時は、しっかりと加熱してアルコール分を飛ばしてください。

とろみがたりないことがあります……。何かよい工夫はないでしょうか?

とろみがつかない原因は、「煮込み時間や火力がたりない」ということが考えられます。シチュールウの中の小麦粉に含まれるでんぷんは、60〜65℃以上でないと糊化が開始せず、また糊化するまで時間がかかるため、十分な煮込みが必要なのです。ふつふつと沸騰した状態で10分以上、時々かき混ぜながらとろみがつくまで煮込みましょう。

その他、「水分量が多すぎる」という可能性も。レシピの分量通りに水の量をしっかり計って加えるようにしましょう。

それでもとろみがたりない場合、水で溶いた小麦粉(片栗粉でも可)を加えるとよいでしょう。具材を煮込む工程の最後に火を止め、沸騰がおさまったところに水溶き小麦粉を少量ずつ加えます。全体に均等に広がるように混ぜ、その後、弱火で10分以上煮込んでください。

他にも、少し火を強めて水分を飛ばすように煮詰めるという方法も。じゃがいもを入れている場合は、煮くずれることで粘性も出てきます。

シチューを作る時に、肉の下味など塩をする必要がありますか?

ルウを使う場合、肉の下味をつける必要はありません。煮込んでいる間も塩を使う必要はなく、ルウだけで味が決まります。肉にあらかじめ塩を振ると、浸透圧で水分が出てしまい、肉がかたくなる原因にもなります。下味をつける場合は、肉を焼く直前がおすすめです。

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「シチューのじかん」編集部

このサイトでは、おいしいシチューの作り方はもちろん、その種類や発祥の歴史、意外と知らない豆知識などをたくさん紹介しています。

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※掲載情報は、2024年9月時点のものです。
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