カレーの世界史 18世紀

この時代、世界をリードしていたのが大英帝国。アメリカとの独立戦争には敗れたもの、植民地はインド方面にとどまらずカナダまでにも広げていきます。世界の覇者として君臨するイギリスは国内においても、近代工業化の芽生えといえる「大衆消費社会」を迎えます。そんなイギリスに上陸したカレーは、時代の流れに乗って、市民の食卓へと浸透していきます。

1700年

はじめてイギリスの料理本に、カレー料理が登場

ハンナ・グラッセという人の書いた料理本『Art of Cookery Made Plain and Easy』が出版され(今も復刻版が売られています)、この中で、イギリスのクックブックとして初めてカレーが登場しています。

ところが、このレシピ、かなりユニークで、「ペパー30粒、米大さじ1、コリアンダー適宜を炒ってからすりつぶして、肉にまぶし、水を加えて煮る」というもので、ご飯にかけて食べるというようなことは書いてありません。どうしてこれがカレーなのか、なぜここに米が入るのかと不思議なレシピですが、多分この著者はインドにも行ったことがなく、インドのカレーを食べたこともなかったのではないかと思われます。

写真:料理本『Art of Cookery Made Plain and Easy』
料理本『Art of Cookery Made Plain and Easy』

インド帰りの人から話を聞いて、辛かったというのでペパーを使い、スパイシーだったというので、たまたま手近にあったコリアンダーを使ったのかもしれません。
ちなみにタイトルは「To make a Currey the India way」、curryではなくcurreyとなっています。

1772年

イギリス人ウォーレン・ヘイスティングがカレーを作るための混合スパイスと米をインドから持ち帰る

イギリス・東インド会社に勤めていたウォーレン・ヘイスティングが、インドからの帰途、インドの料理で使われる粉末の混合スパイスと米を持ち帰ったのが1772年。ヘイスティングが初めてインドに渡ったのは1750年ですから、この間に、ヘイスティングはインドで食べた、スパイシーな煮込み料理が気に入ってしまったのでしょう。イギリスに一時帰国することになった際に、「これを国の友達にも食べさせてあげよう、自分もイギリスにいる間食べられないのはさびしいし・・・」というわけで、粉末のスパイスをあれこれ取り揃えて、または混合スパイスである「マサラ」や中でもとくに辛い「ガラムマサラ」を、ついでに米もいっしょに持ち帰ったのでしょう。ちなみに翌1773年、ヘイスティングは初代ベンガル総督(最初にイギリスが植民地としたのはベンガル地方)と なって再びインドに向かいます。

page top