カレーの世界史 16~17世紀

大航海時代、インドのカレーは船に乗ってヨーロッパへ進出しました。それから400年余りが経過した現代、貴重な資料を紐解けば、カレーが旅した大いなる時空のロマンが、生き生きと蘇ってきます。

1563年

「カリール」の語を初めてヨーロッパに紹介したのはポルトガル人

インド副総督の侍医としてインドに渡り、以来30年余り各地を旅行しながら植物、薬学、香料などについての研究に取り組んだポルトガル人ガルシア・ダ・オルタが、1563年に『インド薬草・薬物対話集』という本を出版しました。この本の中で、カレーについて、「鳥の肉か獣肉で、彼等はカリール(caril)と呼ばれる料理を作る。」と記述しています。これが、ヨーロッパの文献に登場する最初のカレーと言われてます。

※参考資料『カレー料理探訪』(別冊家庭画報 1987年発行)

1595〜1596年

オランダ人リンスホーテンが『東方案内記』で、「インディエ人のカリールはなかなか美味」と紹介

オランダ人のヤン・ハイヘン・ファン・リンスホーテンが、インドに赴任するポルトガルの大司教についてインドに渡り、1595〜1596年に『東方案内記』という本を出版しました。当時はオランダやイギリスがインドに本格的に進出し植民地化しようとしていた時期で(1600年代はじめにはイギリス、オランダの東インド会社が発足)さまざまなインドの情報が求められていました。

この『東方案内記』の中で、リンスホーテンは、「魚はたいていスープで煮込み、米飯にかけて食べる。この煮込汁をカリール(caril)という。やや酸味があって、クライス・ベス(酸〈す〉ぐりの一種)か未熟の葡萄でも混ぜたような味だが、なかなか美味で、カリール料理はインディエ人の常食である。かれらにとって米飯はわれわれのパンに当たる。」と書いています。この本は3年後に英語訳も出されています。

1600年

イギリスが東インド会社を設立

そして新たな世紀「17世紀」にはイギリスのインド進出が本格化していきます。当然の事ながら、インドの料理も何かの折にイギリスに入ってきたのではないかと思われますが、この時期のインドの料理に関する記録はあまりないようです。

※掲載情報は2020年11月時点のものです。

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