【マッサマンカレー】プロ直伝レシピを紹介!本場タイの味に近づけるコツも

マッサマンカレーはタイを代表するカレー料理で、まろやかな甘さの中にほのかに酸味と辛味が感じられるのが特徴です。今回は、そんなマッサマンカレーの魅力や本格レシピを、タイ料理の講師として活躍する料理家・梅木幸恵さんにご紹介いただきました。より手軽に作れる、こくまろカレーのルウを使ったレシピも必見です!
目次
マッサマンカレーってどんなカレー?

マッサマンカレーは、タイの伝統的な料理の一つ。スパイスを多種類使うため、香り豊かで味に深みがあり、マイルドな甘さの中に酸味と辛味をほんのり感じるユニークな味わいが特徴です。
具材には鶏肉や牛肉、玉ねぎ、じゃがいもがよく使われ、ごはんの他に「ロティ」と呼ばれる薄焼きパンのようなものを添えることもあります。
国際交易が盛んだったアユタヤ時代後期(17世紀ごろ)に、イスラム商人を経由してタイに伝わったマッサマンカレーは、ペルシャやインドの料理の影響を受けているという説が濃厚です。日本では、あまり知られていませんでしたが、2020年・2021年に「世界の美食トップ50」でマッサマンカレーが1位に選ばれたことで(※)、「世界一おいしい料理」として一気に注目されるようになりました。
※「CNN Travel」はマッサマンカレーが「世界の美食トップ50」の1位に選ばれたことを発表。(タイ国政府観光庁より:https://www.thailandtravel.or.jp/news/87992/)
【ポイント】丁寧に味見をして、バランスよく仕上げる
マッサマンカレーのおいしさの秘けつは、甘味・酸味・塩味・辛味のバランスをとること。調理器具や火加減により煮詰まり具合に差があり、また使用する調味料によっても味が異なるので、調味料は分量の1〜2割を残して加え、最後に味を見て調整するのがポイントです。特に酸味が強すぎると味のバランスがくずれるので、酸味のために加えるタマリンド果汁は、甘味や塩味が整ってから少しずつ加えて調整すると失敗しません。

しっかり味見し、慎重に調味することが調理のポイントです。タイでは、マッサマンカレーを上手に作れる人はお料理上手と言われるんですよ。
それから、まずはお店でマッサマンカレーを食べてみることがおすすめ! レシピを基本にしつつも本格的な味に近づけるように調味するとよりおいしく仕上がります。
【レシピ】本場タイの味!プロ直伝の本格マッサマンカレー

「本場タイの味を知ってほしい」との思いから、梅木さんがタイで食べているマッサマンカレーを再現したレシピをご紹介。「甘くこってり」したものが多い本場の味のバランスはそのままに、食べやすくすっきりとした味わいに仕上げています。
市販品のマッサマンカレーペーストを使い、深みのある本格的なマッサマンカレーに。ペーストは辛味の調整が不要なので便利に使えます。タイの家庭でもペーストを購入してカレーを作るのが一般的で、市場では自家製ペーストが量り売りされているそう。

具材は基本の鶏肉、玉ねぎ、じゃがいもを使用していますが、肉の種類を変えたり、じゃがいもを他の芋類に変えたりしてもおいしくできますので、ぜひ試してみてくださいね。
【材料】3~4人分
・ 鶏もも肉…200g
・ しょうが…1かけ
・ じゃがいも…中1個
・ 玉ねぎ…中1/2個
・ マッサマンカレーペースト(市販品)…50g
・ ココナッツミルク…220ml
・ ピーナッツ(無塩)…大さじ2
<A>
・ ナンプラー…大さじ1・1/2
・ ヤシ砂糖…大さじ2
※白砂糖でも代用可能。白砂糖は、甘さがストレートに出やすいので、分量はヤシ砂糖よりやや少なめがよい。
・ タマリンドペースト…大さじ2
※凝縮していて酸味が強いことが多いので、量は様子を見て少しずつ加えるとよい。
※カレー以外にも、スープやサラダに酸味をたしたい時に加えると、酢よりもまろやかでコクのある風味が楽しめるのでおすすめ。
※はちみつ梅やあんずでも代用可能。種を除き、包丁で細かくきざんでつぶし、なめらかにする。さらに、酢や砂糖で調整すると本来の味に近くなる。
<B>
・ ハウス ギャバン12gシナモンスティック(カシア)…1本
・ ハウス ギャバン13gカルダモン <ホール>…3個
・ ハウス ギャバン2gローリエ(アメリカ産) <ホール>…1枚
・ ハウス ギャバン20gナツメグ…小さじ1/4
・ 薄めたココナッツミルク…260ml (ココナッツミルク30ml・水230ml)
【作り方】
鶏肉は一口大に切り、すりおろしたしょうがと混ぜ合わせて15分ほど漬け込む。じゃがいもは2cm角に切り、玉ねぎは繊維に沿って1cm幅に切る。ココナッツミルクは脂肪分と水分が分離していることがあるので、開封前によく振っておく。
フライパンに鶏肉を皮目を下にして入れ、中火で焼く。皮にこんがり焼き色がついたら裏返し、肉の色が変わるまで加熱して取り出しておく。
鍋にマッサマンカレーペーストを入れ、ココナッツミルクを少量ずつ(220mlを3〜4回に分けて)加えながら弱火〜中火で10~15分程度じっくり加熱し、香りを引き出す。ココナッツミルクの油が浮き、ペーストが少しもったりしてくるまで加熱する。
POINT!
ココナッツミルクは少量ずつ加えながら加熱することで、ココナッツミルクの油分がじわじわと出てきます。その油分にスパイスの香りや色が移りおいしく仕上がります。
あえて乳化させないように、混ぜすぎには注意してください。一度混ぜたら放置し、焦げないように軽く混ぜるようにしましょう。
3の鍋に2の鶏肉、<A>を加える。材料が混ざったら、じゃがいも、玉ねぎ、<B>を加え、ふたをしないで具材が少し動く程度の中火で約10分煮る。最後にピーナッツを加えて火を止める。
「ロティ」の作り方|マッサマンカレーに添えてタイ気分!

「ロティ」はタイでよく食べられる薄焼きパンのようなもので、カレーに添えるものとしてもよく見かけます。屋台ではロティの生地にコンデンスミルクや卵、バナナを入れて揚げ焼きにしたデザートも人気です。マッサマンカレーに添えてタイ気分をお楽しみください!
【材料】8枚分
・ 中力粉…250g
・ ベーキングパウダー…小さじ2
・ 砂糖…大さじ1
・ 塩…小さじ2/3
・ 卵…40g
・ 水…80~100ml
・ 植物油…大さじ1
・ 植物油…100ml(生地を寝かせる時用)
【作り方】
1. ボウルに中力粉とベーキングパウダーを入れて、混ぜ合わせる。
2. 卵、水、塩、砂糖、植物油を混ぜ、1に加えて混ぜ合わせる。
3. 表面が滑らかになるまでこねたら、生地を8等分(1つ50g目安)に分けて丸め、植物油100mlの中に入れて常温で3時間以上休ませる。
4. 寝かせた生地を、厚さ約5mmを目安に丸く平たく伸ばし、油(分量外)を引いたフライパンに中火できつね色になるまで両面を焼く。カレーに添えて、でき上がり。
【もっと手軽に】こくまろカレーで作るマッサマンカレー

もっと手軽にマッサマンカレーを味わいたいという人に向けて、スーパーでも手に入りやすいカレールウを使ったレシピをご紹介。コクの深いこくまろカレーのルウを使い、簡単にマッサマンカレーのベースを作ります。また、タマリンドやナンプラーの代わりに梅干しで酸味と風味を、レッドペパーの代わりに一味唐がらしで辛味を出すなど、家によくある食材で工夫した、どなたでも作りやすいアレンジレシピです。

タイ料理=辛いというイメージがあるかもしれませんが、マッサマンカレーは芳醇なスパイスの香りが豊かで、初めて食べたときは「タイ料理にはいろんな味わいのカレーがあるんだ!」と本当に感動しました。みなさんもぜひ一度食べていただき、タイ料理の奥深さを体感してみてくださいね!
▼他のタイカレーレシピはこちら!
監修者プロフィール

梅木 幸恵(うめき ゆきえ)
料理家。2009年にタイへ渡り、以降16年間、日本とタイを行き来しながら、本場の味を活かした手軽で健康的なタイ料理や季節のフィンガーフードのレッスンを開催している。また、日本ではNHK文化センターをはじめとするカルチャーセンターでの料理講師を務める他、テレビ出演や企業の商品開発、レシピ作成にも携わっている。
・Instagram
※掲載情報は、2025年3月時点のものです。
タイのカフェでは最近、とろみをつけたマッサマンカレーをクロワッサンに挟んだものも見かけます。