食材を知って、おいしく調理!

なす

和・洋・中に合う夏・秋の万能野菜

原産地はインドで、奈良時代に中国経由で日本に伝わった、日本人とはつきあいの長いなす。水分が93%以上を占め、体にこもった熱を気持ちよく冷ましてくれる効果があるといわれています。量は少ないものの、ビタミンB類・C、カリウム、食物繊維などもバランスよく含みます。紫紺色の皮は、ポリフェノールの一種、ナスニンです。

1.どんななす選んでる?

色は濃い方がよく、皮に張りがあり、つやつやと光っているものを選びましょう。しわや傷があるもの、茶色っぽいものはさけて。

へた

へたは黒くてとげが鋭く、とがっているものを。

切り口

先端の切り口は、乾ききっていないものを。切ってから時間が経っていないものは切り口が白く、収穫から時間が経つと乾燥してきて茶色っぽくなってきます。

重さ

古くなると、全体が軽くなり、ふかふかの手触りに。

2.保存&下ごしらえのコツ

なすは寒さと乾燥が嫌い!

紙袋に入れ、風の当たらない涼しいところで常温保存しましょう。暑い時期に2〜3日以上保存するときは、新聞紙で包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。冷気が直接当たるとしなびやすくなります。冷やしすぎると、切ったときに種が黒ゴマのように変色します。

皮はできるだけむかない

ナスニンを効果的にとるため、皮はなるべくつけたまま調理しましょう。皮が固い場合は、しま目にむくと火が通りやすくなります。むいた皮をきんぴらなどに利用するのもよいですね。がくに近い部分もなるべく切り落とさないよう、写真のように切るといいでしょう。
切り方はこちら

水にさらす? さらさない?

なすにはあくがあるため、切ったまま放置すると茶色く変色します。あくが気になる場合、さらす時間は長くても15分以内に。さらしすぎると、ナスニンは水溶性なので溶け出してしまいます。すぐに炒める場合は、さらさなくても大丈夫。

油の吸収を抑えるには…

切った断面に塩をふりかけ、10分程度おいておくと、なすの水分が出てきます。すると、水分と一緒にあくが出るだけでなく、炒める際に油分の吸収率を抑えることができて一石二鳥。出てきた余分な水分は、必ずペーパーでふくか、さっと水洗いをして落とします。

時短調理にはレンジ加熱を

炒めに使う場合は、あらかじめ、切ったなすを電子レンジで軽く加熱してから炒めると、炒め油が少なくてすみ、炒め時間も短縮できます! 時間の目安は、なすがしんなりするぐらいまで。なすの色をきれいに出したいときは、“うっすら”と油をぬってからレンジにかけると、色落ち防止になります。

干しなすも美味

なすを縦薄切りにして1分ほど水にさらしてから、ザルに並べて天日で3時間〜半日ほど干すと、日なたの香りと風味が増します。網焼き、フライパン焼き、汁の実などに。加熱時間も少なくてすみます。

3.品種と旬

1年中出回っていますが、露地ものの収穫期は6月〜9月。特に8月〜9月のなすは「秋なす」といわれ、皮が薄く、身が締まっておいしくなります。なすの品種は、全国各地に渡り数百種類と非常に多いので、形をもとにした品種群を表すのが一般的です。ころんと丸い小なすから長さ40センチにもなる大長なすまで、各地で愛されてきたさまざまな品種があります。

中長なす

旬:6月〜8月 / 主な生産地:生産量が多いのは高知、熊本、福岡県。冬・春には高知県や九州地方から、夏・秋には茨城、栃木、群馬県など関東地方から多く出荷されます。

最も多く出回っているなす。どんな料理にも使え、栽培が簡単で収穫量が多いことから、全国でつくられるようになりました。

小丸なす

主な生産地:関西、東北地方

ころんと丸い形をした、手のひらサイズの小なす 。皮が薄く、果肉が柔らかいので漬物に最適。京都の「碗ぎ」(もぎ)、山形の「民田」などの品種が有名。

水なす

主な生産地:大阪泉州地域(岸和田市)

しぼると水がしたたるほどみずみずしいなす。果物のような甘味があり、浅漬けに最適。

丸なす

主な生産地:関西、東北地方

果実は大きく、ボールのようにまん丸な形で、1キロ近くになるものも。肉質は緻密でなめらか。京都特産の「加茂なす」、新潟の「魚沼巾着」などが有名。田楽、揚げ物、煮物に向きます。

長なす

主な生産地:関西、東北地方

長さは20〜30センチ。肉質は柔らかく、焼きナスや炒め物、田楽にむいています。関西、東北地方で人気が高く、大阪の「大阪長」、宮城の「仙台長」、秋田の「川辺長」、島根の「津田長」などが有名。

大長なす

主な生産地:九州地方

主に九州でつくられている細長いなすで、中には長さ40センチを超えるものも。福岡県の「博多長」、「久留米長」などが有名。皮が固いので漬物には向きませんが、身が柔らかく、焼き物、煮物に最適。

米なす

主な生産地:高知県

アメリカ種を改良した大型の品種で、へたは緑色。肉質はよく締まり、くずれにくいので、加熱料理向き。輪切りにして焼き物、田楽、煮物、グラタンなどに。

白なす・緑なす

真っ白の白なす、緑色の緑なす。どちらもナスニンが含まれない品種です。現在、国内では限られた地域で栽培されていますが、東南アジアではさまざまな色のなすが出回っています。皮は固いものが多いですが、加熱調理するととろりとした食感に。(写真は白なす)

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