「カレーのとろみ不足」対処法3つ! 原因やNG調理法も解説

「カレーのとろみ不足」対処法3つ! 原因やNG調理法も解説

カレーのとろみがつかない場合の対処法について、小麦粉やじゃがいもを使うなど、どのご家庭でもできる簡単な方法を3つご紹介します。また、とろみがつくメカニズムとつかない原因も詳しく解説しますので、カレーを作るときにお役立てください。まずは、カレーのとろみのメカニズムから解説します。

なぜ、カレーにとろみがつくの?

カレーのとろみは、材料内の「でんぷん」が加熱変化することで生じるもの。でんぷんは、水を含んで60〜65℃以上の熱を一定時間加えられることで、糊(のり)のように変化します。これは〝糊化〟(こか)と呼ばれ、カレーの場合にはルウの原料となる小麦に含まれるでんぷんがこの変化をします。

このため、「でんぷん」や「加熱温度」「加熱時間」が足りないと、とろみが不足することに。そんなとき、簡単にとろみをつける対処法を3つご紹介します。

カレーのとろみ不足【対処法①】沸騰してから10分以上煮込む

鍋で煮込んでいる写真

具材を煮て、カレールウを溶かした状態の鍋を弱火に。ふつふつと沸騰した状態で10分以上、時々かき混ぜながらとろみがつくまで煮込みます。カレールウの中の小麦粉に含まれるでんぷんは、60〜65℃以上でないと糊化が開始せず、また糊化するまで時間がかかるため、煮込み時間や火力が足りないと、とろみがつかないことがあります。

カレーのとろみ不足【対処法②】水溶き小麦粉を少量ずつ加える

水溶き小麦粉の写真

具材を煮た鍋にカレールウを溶かした後、沸騰した状態で10分以上煮込んでもとろみがつかない場合には、水で溶いた小麦粉(片栗粉でも可)を用意しましょう。
鍋の火を止め、沸騰がおさまったところに水溶き小麦粉を少しずつ加え、全体に均等に広がるように混ぜます。その後、弱火で10分以上煮込むと、とろみがついてきます。水溶き小麦粉は、6人前のカレーで大さじ1程度からはじめましょう。

カレーのとろみ不足【対処法③】すりおろしたじゃがいもを加える

すりおろしたじゃがいもの写真

具材を煮た鍋にカレールウを溶かした後、沸騰した状態で10分以上煮込んでもとろみがつかない場合、小麦粉の代わりにじゃがいもを使う方法もあります。
皮をむいてすりおろしたじゃがいもを用意します。鍋の火を止め、沸騰がおさまったら、すりおろしたじゃがいもを汁ごと加えてよく混ぜます。再び火にかけ、弱火で10分以上かき混ぜながら煮込むと、じゃがいもに含まれるでんぷんの糊化によってとろみがつきます。
じゃがいもの量は、カレーの状態によって異なるので、とろみの具合をみながら調整を。

カレーのとろみがつかない原因5つ

カレーのとろみ不足、実は、ふだん何気なくやっている〝調理の動作〟が原因になっていることが少なくありません。ここでは、やりがちな動作を含む5つの原因をご紹介します。

原因① 火を止めず沸騰した状態でカレールウを入れている

沸騰しているカレー鍋の写真

鍋の中が沸騰している状態でカレールウを加えると、ルウがダマになり、とろみがつかないことがあります。これは、カレールウが煮汁に溶けて広がる前にでんぷんの糊化が進むことで、固まった状態のまま膜を張ってしまうためです。カレールウは沸騰がおさまった状態で加え、溶けきってから再び火にかけて煮込むのが正解です。

原因② 味見に使ったお玉を鍋に戻している

お玉でカレーの味見をしている様子

味見に使ったお玉をそのまま鍋に戻すと、だ液が原因でとろみがつかないことがあります。だ液にはアミラーゼという酵素が含まれていて、とろみの素になるでんぷんを分解してしまうからです。味見をするときは、小皿に移してから行いましょう。

【鍋付近での会話にも注意】
鍋の前での会話などで、わずかにだ液が入っただけでも、とろみがつかなくなる原因に。また、調理直後にはとろみがついていても、鍋の中に微量のアミラーゼが残っていると、時間が経つにつれてとろみがなくなることがあるのでご注意を。

原因③ 水分の多い食材を使っている

新玉ねぎとトマトの写真

カレーに入れる食材によっては、水分量が増えてとろみがつかないことがあります。水分量の多い食材は、野菜なら新玉ねぎ、トマト、大根、白菜など。肉は、牛肉や豚肉よりも鶏肉。また、冷凍のシーフードミックスにも注意が必要です。
これらの食材を使う場合には、煮込むときに加える水の量を少なめにし、様子をみながら調整しましょう。

原因④ ふたをしたまま煮込んでいる

ふたをしたままカレーを煮込んでいる様子

鍋にふたをしたままカレーを煮込むと水分の蒸発量が少なくなり、とろみがつかないことがあります。基本的にカレーを作るときはふたをしなくてOKですが、ふたをして煮込んだ方が熱を逃がさず短時間で仕上がるという利点も。ふたをして煮込みたい場合は、水の量を少なめにしましょう。

【水の量はパッケージに記載がある場合も】
カレールウのパッケージには、加熱による水の蒸発量を計算し、水の分量を載せているものもあります。例えば『ハウス バーモントカレー』のパッケージには、6皿分を作る場合の水の量は、ふたなしで850ml、ふたありで750mlと記されています。

原因⑤ はちみつを入れるタイミングが悪い・煮込み時間が足りない

瓶からはちみつをすくっている様子

隠し味ではちみつを使う場合、アミラーゼという酵素がでんぷんを分解してしまい、とろみがつかないことがあります。はちみつは、炒めた具材に水を加えるタイミングで入れ、沸騰してから20分以上煮込み、アミラーゼの働きを失わせましょう。アミラーゼは、みりん、みそ、しょう油などにも含まれるので、これらを隠し味で使う場合には、はちみつと同様の対応が必要です。

コラム「じゃがいもの煮崩れによっても『とろみ』がつく」

カレーの定番具材であるじゃがいもには、とろみの素となる「でんぷん」が多く含まれます。カレーを作る過程でじゃがいもが煮崩れすることで、でんぷんがカレーに溶け出してとろみが増します。

じゃがいもは品種や種類によって煮崩れのしやすさが異なり、男爵は煮崩れしやすいためとろみがつきやすく、メイクイーンや新じゃがいもは煮崩れしにくいため、とろみがつきにくくなります。

じゃがいもの種類と煮崩れについての記事はこちら

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