おいしく作るための情報(Q&A)

Q1.シチューを作るにはどんななべがよいですか。

A1.シチューのように長時間煮込む料理には、厚手のなべが向いています。厚手のなべは熱の伝わり方が間接的で平均しており保温性もよいので、途中で材料を加えたりしても温度変化がゆるやかなのです。また牛のすね肉など、かなり長時間煮込む必要のあるものについては、あらかじめ肉を圧力鍋で加熱すると調理時間が短縮できます。

シチュー鍋の種類

写真:シチュー鍋の種類

1.アルミ鍋
使いやすいが、酸やアルカリに弱く、また金属製の泡立て器などを使うとキズをつけるので使い方には注意を。
2.ホーロー鍋
見た目に美しいので、そのまま食卓にのせる場合などには向いているが、衝撃に弱くキズがつきやすいので取り扱いには注意を。
3.多層鍋
ステンレス(耐久性、保温性はよいが熱伝導が悪い)の間にアルミニウム(熱伝導はよいが、耐久性などが低い)をはさんで3層、5層などにし、それぞれの長所を生かし短所を補ったなべ。水なし油なしで蒸し煮状態で調理することもできる。
4.土鍋
ふつうはなべものに使うが、煮込みにも向く(モロッコのタジーンも土鍋の一種)。ただし炒めることには向かない。
5.超耐熱セラミック鍋
パイロセラムなどの商品名で知られるもの。500℃の温度差にも耐えるので、たとえば料理を入れて冷凍したものをそのまま直火にかけて温めることもでき、またオーブンや電子レンジでも使える。
(透明の耐熱ガラスで、オーブンでは使えるが直火にはかけられないものもあるので要注意。)

薄手のアルマイトなどのなべを使う場合

もし薄手のアルマイトなどのなべを使う場合は、

  1. 材料をフライパンで炒めてからなべに移す
  2. 煮込んでとろみがついてきたらまめになべ底から混ぜて焦げないようにする

などの注意を。
薄手のなべを使うメリットは、何といってもその軽さ。とくに大量に作る場合などはなべの軽さは大きな魅力になる。

写真:薄手のアルマイトなどのなべを使う場合

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Q2.材料は、煮込み前に炒めたほうがよいのですか。

A2.野菜類は炒めることによって、表面の糖分をカラメル化してうまみを増します。肉類については、表面を焼くことによって生臭みをとばし、香ばしさを増すなどの効果があります。(肉の表面を焼くとうまみを逃がさないといわれますが、長時間煮込む場合にはあまり関係ないという説もあります。)とはいっても、カロリーを控えたい場合には、炒めないでそのまま煮込んだほうがよいでしょうね。

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Q3.塩はどの時点で加えるのがよいですか。

A3.はじめから塩をたくさん入れると煮汁の浸透圧が高くなって、肉汁など食品の水分が煮汁の中に出てしまいます。塩はある程度煮込んでから加えてください。ただし最初に肉に塩コショーするくらいのわずかな塩は問題ありません。

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Q4.ルウを使わないで作ると、とろみがたりないことがあります。何かよい工夫はありませんか。

A4.フランス料理の手法に、ブール・マニエ(beurre manie)と呼ばれるものがあります。これはバターをやわらかくし、同量の小麦粉を加えてよく混ぜ合わせたもので、煮汁でいったんのばしてからなべに加えて、ソースやスープなどのつなぎやとろみづけに使います。
この方法だと小麦粉が”だま”になることがなく全体になめらかにとろみをつけられます。
また料理によっては、少量の米を加えていっしょに煮込むという方法もありますし、オクラのようなぬめりのあるものを使ってみてもよいでしょう。

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Q5.シチューに向いているのはどんな肉ですか。

A5.基本的には、やわらかくてさっと焼いておいしい肉よりも、長時間煮込むことによってやわらかくなる筋肉質で筋の多い、かたい肉のほうがむいています。
またバラ肉、すね肉など脂肪やゼラチン質を多く含む部位は、煮込むことによってこれらが溶け出して肉全体の食感をよくし、煮汁にコクやうまみをつけます。

シチューに向く肉類(このほかに、ジビエも)

牛肉 すね肉、肩肉、バラ肉、テイル、タンなど
豚肉 肩肉、バラ肉など
鶏肉 もも肉(骨付きも)、手羽先
羊肉 ラム、マトンいずれも肩肉、もも肉(骨付きも)

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Q6.シチューに魚を使う場合、どんなことに注意したらよいですか。

A6.白身の魚、帆立やはまぐり、かきなどの貝類、えびやいかなどはとくにホワイトシチュー(クリームシチュー)によく合います。ただこれら魚介類は、長時間煮込むと身が固くなったり煮くずれしてしまうので、一般的に魚介類はさっと炒めたり蒸し煮にして、最後に加えるよう にしたほうがよいでしょう。また火の通りすぎを考えると温め直しもできれば避けたいので、食べる分ずつ加えるなどの気配りを。ただ殻付きのえびやかに、鯛やぶり、まぐろなどの頭、魚肉のすり身などは煮込むとスープの味をよくするので、長時間煮込むこともあります。
さらに、干だら、干し貝柱、干しあわびなどをもどしたものも、煮込むことによってやわらかくなり、独特のうまみを出します。

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Q7.玉ねぎ、にんじん、じゃがいも以外では、どんな野菜がシチューに合いますか。

A7.和風の素材の里いも、大根、かぶ、ごぼう、たけのこなども使えますし、キャベツ、ブロッコリー、芽キャベツ、白菜、青梗菜なども煮くずれしないので向いています。またきのこ類もうまみが出ます。

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Q8.冷凍の素材を使ってもよいでしょうか。

A8.もちろんです。冷凍の単品の素材だけでなく、ミックスベジタブル、シーフードミックス、フライドポテトなども、常備しておくと便利に使えます。
ミックスベジタブルは細かく切ってあるので火の通りが早く、シチューのルウなどを使えばアッという間にできてしまいます。
シーフードミックスも、いろいろな魚介を用意しなくてすむので助かりますし、フライドポテトなどもじゃがいもの下ごしらえの手間が省け、しかもいったん加熱してあるのですぐに煮えます(油分が気になるときは熱湯で油抜きしてから使うとよいでしょう)。
いずれも凍ったままなべに入れて使います。

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Q9.乳製品では、どんなものがシチューに合いますか。またどのタイミングで入れたらよいですか。

A9.牛乳、生クリーム、チーズ、バター、サワークリーム、無糖練乳(エバミルク)、脱脂粉乳等々、乳製品は甘みのないものであればたいていのものはよく合います。
ただ入れるタイミングにはちょっと注意してください。牛乳や生クリームなどは、煮汁にある程度とろみがついてから入れたほうが分離しません。これは、煮汁のなかのでんぷん質が薄い膜を作り、乳たんぱくや乳脂肪の粒子を細かく分散させてなめらかにするためです。いずれにしても最初から加えないで、仕上げに入れるようにしてください。

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Q10.シチューにスパイスを使う場合、どんなことに注意したらよいですか。

A10.ホール(丸のまま)のものは早くから加えて煮込み、パウダーのものは仕上げに加えるようにしてください。
また肉類の下ごしらえにすりこんだり、スパイスを加えたマリネ液を作って漬け込んでから使うと肉のくさみを消すことができます。

シチューに使われることの多いスパイス類。世界各地の、その地でよく使われるスパイスを加えることによって、手軽に「世界のシチュー」ができます。たとえばパプリカを加えてハンガリー風に、クミンで中近東風に、チリパウダーでメキシコ風に、八角茴香(スターアニス)で中華風になど。

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Q11.シチューにお酒を加えてみたいと思いますが、どんなお酒が合いますか。またどんなことに注意したらよいですか。

A11.赤ワイン、白ワインをはじめ、シェリー酒やビールを加えることもありますし、中国料理では紹興酒などを使います。
とくに西欧でしばしば使われる赤ワインは、最初から加えて煮込むとコクや味の深みを出すだけでなく、あらかじめ肉を赤ワインに漬け込んでおくと肉がやわらかくなるという効果もあります。これはワインの有機酸によって肉のpH(ピーエッチ)が下がり、肉をやわらかくする酵素が活性化するためです。さらに加熱することによって、固くなった肉のたんぱく質を有機酸がほぐすという働きもあります。
また白ワインは魚介類やきのこを炒める際に加えると味がよくなります。いずれの場合も、仕上がりまでにアルコール分はしっかりとばしてください。

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Q12.フランス料理のシチューや煮込み料理に本などを見ていると、「フォンブルン」とか「デミグラスソース」という言葉がよく出てきますが、これはどういうものなのですか。

A12.フォンブルン(仏fond brun)のフォンは、ソースや煮込み料理のベースになるだし汁のこと(一般的には根本、基本の意)で、ブルンは褐色(茶色)のという意味、つまり褐色のだし汁のことです。
作り方は、牛肉や子牛肉、牛の骨、香味野菜を、フライパンまたはオーブンで加熱して焦げめをつけてからなべに入れて水を加えて数時間煮込みます。魚を使って作る場合もあります。
デミグラスソース(フランス語ではソースドゥミグラス sauce demi-glace)は、小麦粉を油脂で褐色になるまで炒めたもの(ルウブルン)に、フォン(だし汁)、ベーコンと香味野菜を炒めたもの(ミルポア)、トマトピューレなどを加えて半量になるくらいまで煮詰め、マディラ酒などで風味をつけたソースです。
いずれも調理に時間と手間がかかり、家庭で作るのはむずかしいものです。

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