カレーライスに含まれる栄養素を解説。バランスのよいレシピや献立アドバイスも!

カレーライスに含まれる栄養素を解説。バランスのよいレシピや献立アドバイスも!

日本の家庭料理の定番といえば、カレーライス。色々な具材を使って簡単に作れることから、食卓でも登場することの多い料理の一つですが、意外と栄養面が気になることも。そこで今回は、カレーライスに含まれる栄養素や、理想の栄養バランスに近づける方法を解説します。

カレーライスに含まれる栄養素とは? 気になるバランスをチェック!

カレーライスを上から撮影した画像

「栄養バランスのとれた食事」とは?

そもそも「栄養バランスのとれた食事」とは、こころもからだも健康な毎日を送るために必要な栄養素を適切に摂れる食事を意味します。具体的には、たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)、ビタミン、ミネラルの「五大栄養素」を、必要な量摂取することが、健康の維持には欠かせません。また、五大栄養素のうち、たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)の3つは「エネルギー産生栄養素(三大栄養素)」と呼ばれ、からだを動かすエネルギー源となる大切な栄養素です。1日に摂取する各栄養素の量は年齢や性別、身体活動レベルなどによって異なりますが、それぞれの栄養素をバランスよく摂ることが、日々の食生活では重要なのです。

厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準」(2020年度版)では、日本人が食事からどのくらいのエネルギーや栄養素を摂取すれば良いのか、性別や年齢、身体活動レベル別に摂取量の目安が記されています。

5大栄養素の図

カレーライスに含まれる栄養素

子どもから大人までなじみの深いカレーライスですが、一体どれくらいの栄養素が含まれているのでしょうか? 「日本人の食事摂取基準」(2020年度版)の定める大人と子どもの1食あたりの栄養摂取量の目安と、一般的なじゃがいも・玉ねぎ・にんじん・牛肉(もも)を使ったカレーライス1皿に含まれる栄養素をチャートで見比べてみましょう!

★カレーライス1皿の栄養素充足率(%)(10〜11歳男性の場合)

10〜11歳男性(活動量普通)の1食あたりの栄養素摂取量基準に対する、カレーライス1皿に含まれる栄養素の充足率(%)のチャート
▲10〜11歳男性(活動量普通)の1食あたりの栄養素摂取量基準に対する、カレーライス1皿に含まれる栄養素の充足率(%)

★カレーライス1皿の栄養素充足率(%)(30〜49歳女性の場合)

30〜49歳女性(活動量普通、月経あり)の1食あたりの栄養素摂取量基準に対する、カレーライス1皿に含まれる栄養素の充足率(%)のチャート
▲30〜49歳女性(活動量普通、月経あり)の1食あたりの栄養素摂取量基準に対する、カレーライス1皿に含まれる栄養素の充足率(%)

上のチャートをみると、カレーライス1皿で1食に必要なたんぱく質が含まれていることがわかります。また、カレーライスは一般的に「カロリーが高く、塩分が多い」というイメージを持たれがちですが、実際には、カレーライス1食あたりのエネルギーと脂質、食塩相当量は基準値内に収まっています。カレーライスに不足しがちなカルシウムなどのミネラルやビタミン類を補う場合は、牛乳やサラダなどを添えてもいいですね。

※基準値は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に基づき、1食あたり(1日の1/3として計算)の各栄養素の必要な量(推奨量 / 目標量)を100とした場合。栄養価は文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年」を使って計算しています。
※カレーライス1皿は「バーモントカレー<甘口>」(2023年4月時点)を使用、ごはん200gの場合。

「主食・主菜・副菜」が1皿に!? 「献立」としても優秀なカレーライス

カレーライスを作っている大人と子どもの画像

栄養バランスをととのえるには、「主食・主菜・副菜」を組み合わせた食事がよいとされています。肉や野菜を具材に、ごはんで食べるカレーライスは、1皿で主食・主菜・副菜の役割を果たしているようなもの。比較的調理が簡単なのに「献立」として成立しており、おかずを何品も用意する必要がありません。また、カレーは比較的どんな食材とも相性がよいので、定番の具材のほか、栄養価も高くおいしい旬の食材を取り入れたり、お好みの具材にアレンジできるのもうれしいポイント!

また、1日350g食べた方がよいとされる野菜も、生のままではかさが多く、なかなかたくさん食べづらいものです。でもカレーなら煮込むことでかさが減り、たっぷり野菜を摂ることができます。また、カレールウのなめらかな食感や、スパイスなどの香りが合わさって、野菜が苦手な子どもも食べやすい仕上がりに。

このように、さまざまな具材を自由にアレンジしてバリエーションを増やせるカレーライスは、食卓を支える強い味方といえそうです!

具材や添えるものの工夫でより理想的な栄養バランスに!

カレーライスとつけ合わせの画像

カレーライスは具材や添えるものを少し工夫することで、より理想的な栄養バランスに近づけることができます。ここでは、そんな栄養バランスをととのえるのにおすすめの具材や、添えるもののバリエーションを紹介します。 簡単に取り入れられるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。

カレーライスに不足しがちな栄養素を補う! おすすめ具材

肉類(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉など) 動物性たんぱく質を多く含みます。種類や使う部位によって含まれる栄養素が異なるので、脂質を控えたい場合は牛赤身肉や鶏むね肉を使うのがおすすめ。

牛赤身肉なら鉄分を、豚肉ならビタミンB1を、部位でいうとレバーはビタミンB2を多く含みます。
大豆製品(豆腐、厚揚げなど)、豆類 植物性たんぱく質を多く含みます。さらに、厚揚げはカルシウム、枝豆は鉄分も含んでいます。
乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど) 不足しがちなカルシウムをプラス。ビタミンB2も多く含みます。
野菜(にんじん、かぼちゃ、小松菜、赤・黄ピーマン、ブロッコリー、じゃがいもなど) ビタミン類の補給に。β-カロテン(※)はにんじんやかぼちゃ、小松菜などに、ビタミンCは赤・黄ピーマン、ブロッコリー、かぼちゃ、小松菜、じゃがいもなどに含まれます。
番外編:ごはん 主要な炭水化物の供給源。ごはんを玄米に替えるとビタミンB1や鉄分を、胚芽精米に替えるとビタミンB1やB2もプラス。

※β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。

カレーライスといっしょに食べるならコレ! おすすめの添えもの

普通のカレーライスに、ゆでたブロッコリーとミニトマト、牛乳を添えるだけでも、栄養のバランスアップに役立ちます。それぞれの食材に含まれる栄養素とチャートはこちら!

ブロッコリー たんぱく質やβ-カロテン、ビタミンCなどを多く含みます。
ミニトマト β-カロテン、ビタミンC、リコピンなどをプラス。
牛乳 たんぱく質やカルシウムの補給に。

★カレーライス1皿にゆでたブロッコリーとミニトマト、牛乳を添えた場合の栄養充足率(%)(10〜11歳男性の場合)

10〜11歳男性(活動量普通)の1食あたりの栄養素摂取量基準に対する、ゆでたブロッコリーとミニトマト、牛乳を添えたカレー1皿に含まれる栄養素の充足率(%)のチャート
▲10〜11歳男性(活動量普通)の1食あたりの栄養素摂取量基準に対する、ゆでたブロッコリーとミニトマト、牛乳を添えたカレー1皿に含まれる栄養素の充足率(%)

※基準値は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に基づき、1食あたり(1日の1/3として計算)の各栄養素の必要な量(推奨量 / 目標量)を100とした場合。栄養価は文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年」を使って計算しています。
※カレーライス1皿は「バーモントカレー<甘口>」(2023年4月時点)を使用、ごはん200g、ゆでたブロッコリー1~2房(21g)、ミニトマト1個(15g)、普通牛乳コップ1杯(155g)

【ワンポイント】ビタミン類は種類に合わせて効率よく摂取!

ボウルに入った野菜の画像

積極的に摂取したいビタミンですが、実は種類によって適した調理法が異なるのをご存知ですか? ビタミンには「脂溶性」「水溶性」の2つのタイプがあります。ビタミンを効率よく摂取できるように、それぞれのタイプに合わせた調理法をマスターしましょう!

β-カロテンなどのビタミンA、Eなどの脂溶性のビタミンは、油に溶けやすく、熱にも強いという性質があります。そのため、油といっしょに加熱調理することで吸収効率がアップ! 食材を油で炒めてから煮込むカレーライスは、まさにぴったりの調理法といえるでしょう。にんじんやかぼちゃなどは、皮にも栄養素が多く含まれているので、皮ごと調理すると◎。

一方、ビタミンC、B群などの水溶性のビタミンは、水に溶けやすく熱に弱いのが特徴。水溶性ビタミンを含む食材は、フライパンでさっと炒めて煮込み時間を短縮したり、煮込みの最後に入れたりすることで、栄養素の流出を軽減することができます。簡単にさっとゆでたブロッコリーなどを添えるのもおすすめです。

また、トマトやミニトマトのように、脂溶性のβ-カロテンやリコピン、水溶性のビタミンCなどを併せ持つ食材は、生でカレーライスに添えても、具材として炒めて煮込んで食べてもよいですね。

ワンプレートでも栄養満点! ビーフと小松菜の元気なカレー

ビーフと小松菜の元気なカレーの画像

最後に、1皿でバランスよく栄養素が摂れるカレーライスレシピを紹介します。牛肉の赤身は、脂肪分を抑えながらたんぱく質や鉄分を摂りたい時におすすめです。また、カレーライスで不足しがちなビタミン類やカルシウム、鉄分を多く含む小松菜を使い、栄養を補いつつ彩りも鮮やかなカレーライスに。仕上げに粉チーズをふりかけたり、コップ1杯の牛乳を添えたりすると、さらに栄養バランスがアップします!

★「ビーフと小松菜の元気なカレー」1皿とカレーライス1皿の栄養素充足率比較(10〜11歳男性の場合)

10〜11歳男性(活動量普通)の1食分あたりの栄養素摂取量基準に対する、「小松菜とビーフのカレー」1皿に含まれる栄養素の充足率(%)とカレーライス1皿に含まれる栄養素の充足率(%)を比較したチャート
▲10〜11歳男性(活動量普通)の1食分あたりの栄養素摂取量基準に対する、「小松菜とビーフのカレー」1皿に含まれる栄養素の充足率(%)とカレーライス1皿に含まれる栄養素の充足率(%)の比較

※基準値は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」に基づき、1食あたり(1日の1/3として計算)の各栄養素の必要な量(推奨量 / 目標量)を100とした場合。栄養価は文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年」を使って計算しています。
※カレーライス1皿は「バーモントカレー<甘口>」(2023年4月時点)を使用、ごはん200gの場合。

簡単に作れて味もおいしく、大人も子どもも笑顔になるカレーライス。1皿でも献立として優れていて、ちょっとした工夫次第でより理想的な栄養バランスに近づくことができます。栄養たっぷりのカレーライスで、充実したおうちカレーライフをお過ごしください!

※掲載情報は、2023年11月時点のものです。

page top