食材を知って、おいしく調理!

玉ねぎ

コクとうま味をそえる名脇役

ねぎ類に含まれる辛味成分・硫化アリルには、コレステロールの代謝を促して血液をさらさらにするほか、ビタミンB1の吸収を助ける効果も。玉ねぎは古代から疲労回復に役立つとされ、エジプトではピラミッド建設現場で働く人々に玉ねぎが支給されたといいます。

1.どんな玉ねぎ選んでる?

頭の先

芽が出る頭の先が、きゅっととがっているものを。ここが太いと、雑菌が中に入りやすく、傷みやすくなります。

かたさ・重さ

玉ねぎは頭のほうから傷んできます。頭を押してみてしっかりしているものが良品。また、同じ大きさならずっしりと重みのあるものが、水分が多くて美味です。

皮の色・つや

玉ねぎの皮は、中の水分を守るラップフィルムのようなもの。パリッと乾燥していて、つややかなものを選びましょう。皮と中身との間にすきまがあり、ブカブカした感じのものは避けて。
白玉ねぎ、紫玉ねぎ — 同じく、皮の美しさが目ききの決め手。白玉ねぎは白、紫玉ねぎはきれいな赤紫でつやのあるものを。白玉ねぎで緑色になったものは固い場合があります。

芽や根

芽や根が出たものは、栄養も水分もそちらに取られて、味が落ちています。出ていないものを選びましょう。

2.保存&下ごしらえのコツ

風通しのよいところで発芽を防ぐ!

玉ねぎの保存がきくのは、葉や根の生長をやめた「休眠」の状態にあるため。寒くて湿ったところに置くと眠りからさめて発芽が始まり、味が落ちてしまいます。ですから、湿度が高い冷蔵庫の野菜室は、玉ねぎの保存には最も不向きな環境。直射日光を避け、風通しのよいところに常温で保存しましょう。一個ずつ新聞紙で包むか、みかん用のネットなどに入れてつるしておくと長持ちします。

新玉ねぎ・赤玉ねぎは野菜室へ

乾燥させていない新玉ねぎや白玉ねぎ、赤玉ねぎ、葉玉ねぎは保存がきかないので、冷蔵庫の野菜室へ。2〜3日を目安に食べ切りましょう。

涙を予防するには

涙が出る原因は、硫化アリルなどの有効成分。硫化アリルを空気中に発散させないためには、よく切れる包丁ですばやく切る、切る前に、玉ねぎを冷蔵庫で冷やしておく、切り口を水でぬらすなどの方法があります。

辛味をとるには

水にさらすと辛味が和らぎます。ただし、辛味成分・硫化アリルは水に溶ける性質があり、さらしすぎると流れ出てしまうので、2〜3分を目安にしましょう。また、お酢の入ったドレッシングを使うと、辛味がマイルドに。

縦に切る? 横に切る?

生食で、玉ねぎのシャキシャキ感を生かしたいときは、繊維に沿って縦にスライス。繊維に逆らって横に切ると、よりソフトな食感に。煮込む場合も、縦スライスなら玉ねぎの食感が残り、横に切るととろとろに煮崩れた感じに仕上がります。

簡単「あめ色玉ねぎ」を味のベースに!

シチューやカレーに深みを加えてくれる「あめ色になるまで」炒めた玉ねぎ。時間のないときは、スライスした玉ねぎを電子レンジで約3分過熱し、水分を飛ばしてから中火で炒めると、数分であめ色になります。

3.品種と旬

黄玉ねぎ

旬:通年 / 主な生産地:北海道、佐賀県、兵庫県

一般的な玉ねぎ。皮は薄茶色で、辛味が強いのが特徴です。新玉ねぎとして出荷されるもの以外は、収穫後1カ月ほど乾燥させて日持ちをよくします。9月頃から北海道産が、4月頃から本州産(佐賀県、兵庫県など)のものが出回ります。北海道の北見、佐賀県の白石、兵庫県の淡路島が産地として有名。煮込みや炒め物、サラダなどあらゆる料理に。

白玉ねぎ(サラダオニオン)

旬:3月〜4月 / 主な生産地:愛知県など

やや扁平な形で、水分が多く甘味があり、辛味が少ないのが特徴で、サラダなどの生食むき。保存はきかず、春先のみ店頭に並びます。愛知県の伝統野菜「愛知白」は、明治期に入ってきたフランス産白玉ねぎの改良品種。

新玉ねぎ

旬:3月〜6月 / 主な生産地:佐賀県、兵庫県、愛知県、静岡県など

春に早取りした黄玉ねぎや白玉ねぎをすぐに出荷したもの。乾燥の過程を経ていないので、日持ちはしません。水分が多くて甘味があるため、サラダなどの生食向き。サッと加熱してスープや軽い煮込みにも。

赤玉ねぎ(紫玉ねぎ)

旬:5月〜7月 / 主な生産地:北海道、静岡県、佐賀県など

皮は鮮やかな赤紫色で、アントシアニンを含み、輪切りにすると内側にも赤紫の輪が現れます。みずみずしく、甘味が強いためサラダに最適ですが、保存はききません。「湘南レッド」や「アーリーレッド」が代表的な品種です。

ペコロス(小玉ねぎ)

旬:通年 / 主な生産地:愛知県、北海道など

黄玉ねぎを密集させて植え、小玉に仕上げたもので、最近は専用品種もあります。丸ごとシチューやピクルス、肉料理のつけあわせなどに使われます。

葉玉ねぎ

旬:2月〜3月 / 主な生産地:千葉県、兵庫県など

若いうちに、葉をつけたまま出荷される早どりの玉ねぎ。葉の部分はやわらかく栄養豊富で、ぬたや味噌汁の具など、長ねぎと同じように使えます。春先の短い間だけ出回ります。

シャロット(エシャロット、ベルギーシャロット)

主な生産地:フランスなど

玉ねぎを小さく、やや細くした形ですが、中は数個に分球しています。香味野菜として、フランス料理やイタリア料理に欠かせません。ちなみに、スーパーなどで緑の葉がついたまま「エシャレット」「エシャロット」の名で売られているものはらっきょうを若どりしたもので、別の品種。

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