ピーマン
ビタミンカラーの“甘とうがらし”
ピーマンの呼び名は、フランス語で“とうがらし”を表すpiment(ピマン)から生まれたといわれます。唐辛子の仲間で、辛くないものがピーマンです。ビタミンCはレモンと同じくらい豊富。しかも、ビタミンPという成分のはたらきで、ピーマンのビタミンCは加熱しても壊れにくく、吸収されやすいのが特徴です。
1.どんなピーマン選んでる?
肩のかたち
肩がしっかりと盛り上がったものが美味。ピーマンは“なで肩”よりも“いかり肩”です!
皮
ピカッと輝くようなつやのあるもの、肉厚でしっかりとしたものを選びましょう。
種のつき方
縦に切ったとき、種がたくさん、きれいに並んでついているものがおいしい。
軸・へた
軸のつけ根が太く、切り口がみずみずしいものを選びましょう。切り口が茶色く乾燥したもの、へたが黒ずんでしなびているものは避けて。
2.保存&下ごしらえのコツ
湿気と冷やしすぎに注意!
ピーマンは湿気と寒さが苦手。夏場以外は、常温での保存もOKです。夏は水気をふき取り、ビニール袋に穴を空けるなどして通気性をよくしてから、冷蔵庫の野菜室で保存。冷えすぎると傷むので、野菜室以外に入れるのは避けて。
緑は1週間を目安に、赤や黄の完熟系は早めに
緑色のピーマンは未熟なうちに収穫したもので、日持ちがしますが、栄養分がどんどん失われるため、1週間を目安に食べ切って。赤・オレンジ・黄色のピーマンは完熟してから収穫しているので保存がききません。できるだけ早く食べ切りましょう。
苦味のもとになる種・ワタをきれいに取って
種やワタ(内側の白い部分)は苦味が強いので、ていねいに取ってから調理しましょう。縦半分に切り、ヘタごとちぎり取るのが簡単。輪切りの場合は、種をつけたまま同じ幅に切ってから、ひとつずつ指先でワタと種をのぞくと、きれいなリング状に。
苦味を抑えるなら、油通しでひと手間プラス
中国料理などでよく使われる下ごしらえのひとつ、油通し。ピーマンの苦味成分は油に溶ける性質があるので、これをすることで、ぐっと苦味を抑えられます。また、油を使って調理すると、ビタミンAの吸収率もアップします。
青臭さを抑えたいなら、縦切りに
繊維にそって縦に切れば、青臭さを抑えられます。輪切りにするとピーマンの細胞を壊してしまって、独特のえぐみや匂いがたつので、ピーマンが苦手な人には縦切りがおすすめです。逆に、ピーマンの風味が好きなら、輪切りにしてサラダなどに。
皮を焦がしてむくとマリネにぴったり
大型ピーマンは皮が固いので、マリネや煮込みに使うときは、薄皮をむくと味が染みやすくなり、一味違うソフトな食感に。焼き網にのせて直火で皮を焦がしてから冷水に取ると、ツルリとむけます。
3.品種と旬
中型種と大型種があり、ふつうの緑のピーマンは中型種の未熟なもの。大型種はパプリカと呼ばれ、様々な色のものが出回っています。ししとうや万願寺唐辛子など、辛くない青唐辛子(青とう)も、ピーマンの仲間です。
ピーマン
旬:6月〜8月 / 主な生産地:茨城県が日本最大の産地。以下、宮崎県、高知県、鹿児島県、岩手県、北海道など
もっとも普通に出回っているピーマン。皮が薄めでやや青臭い香りがあり、パリッとした歯ごたえが特徴です。油や肉類と相性がよいので、炒め物に最適。露地ものの旬は夏ですが、4〜6月は茨城、6〜8月には東北地方、晩夏に北海道、冬は宮崎、鹿児島、高知と産地が移動し、年間を通じて新鮮なものが流通しています。
赤ピーマン
旬:6月〜8月 / 主な生産地:茨城県など
ふつうの緑のピーマンを完熟させたもので、種類は同じ。青臭さが少なく、ビタミンCやカロテンが緑のものより多く含まれます。甘みが強いので、炒め物や焼き物のほか、薄くスライスしてサラダに入れても。なお、中型種で黄色やオレンジに熟する品種もあります。
パプリカ(オランダパプリカ、ジャンボピーマン)
旬:7月〜9月 / 主な生産地:茨城県、高知県、九州、北海道など オランダ、韓国などからの輸入が多いですが、近年、国内産が増えています。
肉厚で甘みが強いのが特徴。「パプリカ」とはハンガリー語で「唐辛子」のことで、本来ピーマンと同じ意味です。サラダやマリネなど生食のほか、煮込み料理にも向きます。様々な色のものがありますが、赤、オレンジ、黄色は完熟したもの、まれに出回っている緑、白、黒などは未熟なうちに収穫したものです。
フルーツピーマン
種類ではなく、果物のように甘みの強いピーマンの総称。大きさは小ぶりなものが多く、様々な品種が出回っています。サラダなどの生食やソテーに。
トマピー
トマトのような色と形のピーマン。ハンガリー系のピーマンを日本に合うように品種改良された新しい品種で、カロテンやビタミンB2が豊富に含まれ、甘みが非常に強く肉厚。茨城県などで栽培されています。
アナスタシア
ロシアで開発された高機能ピーマン。甘みが強く、高い抗酸化作用が注目されています。赤、緑、黒のものがあります。
バナナピーマン
長さが10〜15cmの細長いピーマン。未熟なときは薄緑色で、熟すにつれて黄→オレンジ→赤と色が変わります。サラダや煮込みに幅広く使えます。
ししとう
旬:7月〜9月 / 主な生産地:高知県、千葉県
先端が獅子の頭に似ていることから「獅子唐辛子」と名づけられました。適度な辛味と香りが特徴で、そのまま焼き物や揚げ物に。
伏見甘長
旬:7月〜9月 / 主な生産地:京都府
「京の伝統野菜」で、江戸時代からつくられていました。伏見の、辛唐辛子に、ししとうの類が交雑して生まれたと考えられています。焼き物やてんぷらに。
万願寺唐辛子
旬:6月〜8月 / 主な生産地:京都府
「京の伝統野菜」で、長さ15cmになる大型の青唐辛子。大正〜昭和初期に京都の舞鶴市で、伏見唐辛子に大型種のピーマンが交雑して生まれたと考えられています。柔らかくて甘みが強いので、焼き物や煮物、肉詰めなど洋食にも合います。