3丁目のカレー屋さん × チーズとろける欧風ビーフカレー 開発秘話 リッチで重層的な旨みと香りに満ちた 食べるごとに食欲が増すカレー オーナー 大澤悠二氏

たっぷり野菜と果実を丁寧に仕込むのが大澤流カレーのベース

 「欧風カレーらしい熟成感はありつつ、しっかりとスパイスが香り、食べるごとに食欲がわくようなカレーを作りたかったんです」
 学生時代から料理に目覚め、いつしか「自分なりの味、自分なりの個性のあるカレーを作ってみたい」と考えるようになった大澤悠二さん。試行錯誤を経て完成した「焼きチーズビーフカレー」は、オーナーをつとめる東京都中央区『3丁目のカレー屋さん』の看板メニューとなった。
 完熟トマトに炒め玉ねぎ、セロリ、リンゴ、バナナ、そしてクレソンやホウレン草、小松菜といった青菜類も入れてじっくりと煮込んでペースト状にしていき、スパイスを加え、最低4日間は寝かせる。これがカレーのベースとなる。「あえて裏ごしはしません。舌ざわりが良くなると思うし、食物繊維も摂れますからね。おいしくて体にもいい、を提供したい。うちのは一皿で野菜がたっぷり摂れますよ」と大澤さん。スパイスは20種類以上使用しているが、メインとなるのはオールスパイス、そしてカルダモンだ。

開発秘話 写真
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料理に対するオーナーの姿勢が開発担当者を絶えず刺激

 「オールスパイスは甘く、重厚な香り。対してカルダモンは爽やかで軽やか。大澤さんのカレーを味わってみたとき、まず最初に香るのがカルダモンで、飲み込んで鼻に抜けてくるのがオールスパイスなんです。レトルトカレーとして製品化するとき、その味わいをどう表現するかでまず苦労しました」
 そう語るのはハウス食品開発研究所の星野彰太さん、同研究所のスパイスマスターでもある。レトルトカレーとして製品化する以上、加圧加熱殺菌は必須となるが、それは同時にスパイスの命でもある香りを飛ばしてしまうことにもなるのだ。 「そうならないよう、とにかくスパイスの配合比と量を変えつつ、何度も試作をしました。お店で使われている材料に準じて作ろう、というこだわりもありましたね」 チーズのおいしさを表現することも苦心したポイントだった。家庭で調理したときにほどよく溶けつつ、食感は感じられる程度に残すにはどうしたらいいのか。その検証のため、チーズの種類、大きさ、切り方、すべてに吟味が必要となる。試作してはオーナーに味見してもらい、何度も相談を重ねた。チーズのおいしさを際立たせるため、あえてソースには乳成分を入れないというのも星野さんが考えた工夫のひとつである。こうすることで味のコントラストが鮮やかになるのだ。
 「大澤さんの『毎日、より良いカレーを作る』という姿勢がとても刺激になり、同時に勉強になりました。十分おいしいのに、もっと良くすることを日々考えられている。だからこちらも『次はもっと大澤さんのカレーに近い味わいを表現しなくては!』と思い、試作を続けるモチベーションとなりました。入社して7年ほど開発研究に携わっていますが、今回の仕事はトップクラスに難しくもあり、そして初心に帰れた仕事ともなりましたね」 欧風カレーらしい煮込み感、スパイスの香り、チーズのまろやかさ、それぞれのバランスが次第に整い、ようやく完成の日を迎える。大澤オーナーと星野さん、はじめての顔合わせから四か月後のことだった。

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老若男女問わず愛されるカレーを目指し今日も研究を重ね続ける

 「食べ終えたとき、体が喜んでいるようなカレーを目指しています。うちのカレー、一見野菜はあまり入ってなさそうでしょう(笑)。けれどソースに野菜も果物もたくさん入っているんですよ」
 おいしさ、安心、安全の3つを大事に考えていると大澤さんは言う。「カレーって面白いですよね、店ごとにとても個性があって、味が全然違う。学生時代から料理にハマって、今も毎日カレー作りについて研究しています。ソースは日々調整が必要ですからね。老若男女問わず愛されるカレー作りが目標です」
 実の子のようにカレーに手塩をかける大澤さん。その味を求めて、今日も店には多くの人が詰めかけている。

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“追いチーズ”に軽く焦げ目でおいしさアップ!

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 『チーズとろける欧風ビーフカレー』をより本格的に楽しむためのポイントを大澤さんに教えてもらった。
 「ごはんを温めて耐熱容器に入れて、温めたカレーをかけ、その上にチーズをのせてオーブントースターに入れて、軽く焦げ目がつくぐらい熱してください。そうするとチーズの香りの立ち方がよくなり、店でお出ししている味わいに近づきます。また、お米は水を少なめに炊くとちょうどいいでしょう」
 使用するチーズはモッツァレラチーズがおすすめ、なければ「なるべく低塩のナチュラルチーズで」とのこと。ぜひぜひ、お試しあれ。

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選ばれし人気店 人気店のパスタをご家庭で!

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