シチュー(英語:Stew)とその仲間の言葉
シチュー(英語:Stew)とは?
小学館刊の国語大辞典『言泉(げんせん)』に、
シチュー(英語:Stew)
肉と野菜をスープで長時間煮込んだ西洋料理。「ビーフシチュー」
との記述があります。
英語のシチューの語の歴史を見ると、名詞として使われはじめたのは1300年以前からで、1400年頃になると動詞としても使われるようになったようです。
またシチューの語には料理名のほかに
- 食物をゆっくりとろ火で煮る、シチューにする
- 蒸し風呂用の浴室 温浴。派生的な意味では、異質のものの混合、暑さと渋滞の状態など
のような意味があります。
英語には、調理法をあらわす言葉でシチューに近いものとして、braise(英:ブレーズ 蒸し煮または蒸し煮にする)や、casserole(英:キャセロール)のように使用する鍋と料理名の両方を意味する名称もあります。また弱火でぐつぐつ煮るという動詞simmer(英:シマー)などもあります。
Braise(英語/ブレーズ)
braise(英:ブレーズ)の辞書への初出は1797年、「Braised〜」というように料理名にもよく使われます。1998年に刊行され、現代アメリカの料理書として複数の賞を受賞している「How to Cook Everything」で、著者Mark Bittmanは、braiseとstewの違いは液体の量によるもので、水分を増やせば前者を後者に換えることは容易だと説明しています。またbraiseの場合は、最初に材料(主として肉類)をソテーしたり、焦げ目をつけたりしてから少量の液体を加えて弱火で加熱するとも記しています。
Simmer(英語/シマー)
simmer(英:シマー)はbraiseより100年ほど早い登場ですが、こちらはもともと液体が沸騰点でくつくつ、ぐつぐつなどと音をたてて煮える状態を表す擬音語だったようで、料理名に使われることはほとんどありません。
シチューの語源はフランス語
英語のシチューの語の語源はフランス語の古語éstuverで、現代のフランス語では蒸し煮にする、煮込む、蒸すなどの調理用語としても使われるétuver(エテュベ)にあたります。このほかにもシチューつまり煮込み料理を指す言葉として広く使われるものには、フランス語のragoût(ラグー)などもあげられます。
étuver(エテュベ)
シチューの語源ではありますが、étuverは、「水分をほとんど加えずにふたをして蒸し煮する」としている資料もあり、意味合いとしてはどちらかというとbraiseに近いともいえます。またあるフランス人によれば、シチューに当たるフランス語の動詞は mijoter(ミジョテ=とろ火で煮る)で、cuisine mijotée(キュイジーヌミジョテ=煮込み料理)というとおばさんの料理、おかあさんの料理という感じだそうです。