カレー用語集

言葉は文化の担い手です。カレーが世界に広がれば、カレーにまつわる言葉も広まっていきます。そして、新しい料理が生まれれば、新しい言葉も誕生します。ここでは、カレーに関係するさまざまな用語をジャンル別にリストアップ。カレーと料理の知識を深めるアイテムとして是非ご活用ください。

カレーメニュー

カレーうどん(カレー南蛮)

たいていのおそば屋さんにある、明治生まれの日本オリジナルのメニュー。和風だしのつゆを効かせるという点はどこも共通ですが、具材は牛肉派・鶏肉派・豚肉派、ねぎ派・玉ねぎ派、作り方もとろみを片栗粉でつけたりと店によって少しずつ異なります。

カレーパン

昭和の初めに、東京のあるパン屋さんがカレーライスとカツレツからヒントを得て考案した、汁けの少ないカレーをパン生地に包んでころもをつけて揚げたのが始まりと言われています。最近は揚げずに焼いたものやフランスパン生地のものもあります。

キーマカレー

キーマとはひき肉のことで、細かく切りきざむというヒンディー語やウルドゥー語に由来します。日本でもキーマカレーでおなじみ。インドのキーマカレーは、汁気の多いスープタイプのものから、日本のドライカレーのようなものまでバリエーションが豊かなのが特徴。

スープカレー

さらさらしたスープ状のカレー。1970年代に北海道の飲食店のオリジナル料理からブームとなり、全国規模の人気になりました。スープ分の多いとろみのないカレーはインドにもありますが、ポトフのように、おおぶりに切った「じゃが・たま・にん」が入るというところはいかにも日本的かもしれません。

バターチキンカレー

生クリームやバターなどの乳製品をたっぷり使った、クリーミーながらスパイスのきいたカレー。北インドを代表するカレーのひとつで、現地ではタンドリーチキン(ヨーグルトとスパイスに漬け込んだ鶏肉を焼いたもの)を加えて作られることが多いです。

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カレー(その他)

カレーパウダー

30種類前後のスパイスを混合したもので、辛みは主にレッドペパー、カレーの香りはクミンやコリアンダーを中心にその他多くのスパイスで、黄色い色はターメリックによるものです。カレーパウダー発祥の国はイギリス。イギリス人がインドから持ち帰った「ガラムマサラ」を商品化し、その後世界に広まりました。

カレールウ

小麦粉、油脂、スパイス類、スープなどで作ったカレーソースの水分をとばして、固形またはフレーク状にしたもの。ちなみに、ルウ(roux 仏語)とはもともと小麦粉と油脂を炒めたもので、ソースやスープ類のとろみづけ(つなぎ)として使うものをさす料理用語です。

カリ

タミル語で、ソース・汁の意。インドではほとんどの料理にスパイスを使うので、当然この「カリ」も「スパイシーな」ということが前提になっています。英語のカレー(curry)の語源と言われています。

レトルトカレー

レトルトパウチという袋に具材とカレーソースを入れて密封後、レトルト釜で加圧加熱殺菌したもの。レトルト釜は、家庭の圧力鍋を巨大化したといえるもので、釜の中の圧力が高くなるため加熱温度を100℃以上にあげることができるので殺菌効果も高くなっています。そのため、保存料や殺菌料を使うことなく常温で長い期間保存できます。

スパイス全般

アジョワン

インドではよく使われるスパイスで、フェンネルを小粒にしたような形。メンソールのような香りをもち、殺菌力、整腸作用をもっています。

オールスパイス

中世ヨーロッパの人が珍重したブラックペパー、ナツメグ、シナモン、クローブの中で、ブラックペパーを除く3種のスパイスの香りを持つことからこの名がつけられたと言われています。肉にも甘いものにも合う“万能スパイス”で、広い用途で使われています。

チリペパー(唐辛子)

英語では“hot”と表現する、口の中がカッと熱くなるような辛さが特徴。しかし辛みだけではなく独特の香味をもち、料理のうまみを増す効果も大といえます。唐辛子はチリペパーとも呼ばれ、カイエン(ヌ)ペパー、日本品種の鷹の爪、一味唐辛子や輪切り唐辛子、糸切り唐辛子など様々な製品があります。また、赤く熟した唐辛子はレッドペパーと呼ばれます。

ガラムマサラ

インドの3〜10種類の混合スパイス。ヒンディー語で、ガラムはhot(熱い)、warm(温かい)、マサラは混合スパイスを挽いたものの意。古来マサラはインドの家庭料理には欠かせないもので、日々調合を調整しながら使われてきました。仕上げに使われることが多く、カレーの他、ヨーグルト風味のサラダや野菜の炒め煮(サブジ)などに使われます。

カルダモン

清涼感のある芳香、ピリッとした辛みとほろ苦さが特徴。サフラン、バニラなどに次いで高価なスパイスでもあります。ショウガ科の多年草で、カレーやひき肉料理、またジンジャーと同じく甘いものにもおすすめ。

キャラウェイ

ディルに似たさわやかな香り、ほのかな甘みとほろ苦さをもつスパイスで、古代ギリシアではキャラウェイ入りのパンが作られていたようです。ドイツの代表的な料理の1つ「ザワークラウト」には欠かせません。

クミン

「カレーのいいにおい」は、実はこのクミンの香りが中心。その意味では日本人にはとてもなじみ深いスパイスといえます。もっとも歴史の古いスパイスの1つ。カレーパウダーの主原料で、当然ながらスパイスを使って作るカレーには欠かせません。

クローブ

バニラのような甘さも感じさせながら刺激的でさわやかな独特の香りが特徴。インドネシアのモルッカ諸島原産の熱帯性常緑樹の1種で、スパイスのクローブはその開花直前のつぼみを乾燥させたものです。肉料理に合う一方で、甘いものともよく合います。

コリアンダー

最近は、クセのある強いにおいをもつ生の葉が香菜(パクチー)の名で日本でもおなじみ。スパイスとして昔から利用されてきたのはその種子で、甘くまろやかで柑橘類を思わせる香りとかすかな辛みをもっています。また、クミンとならんでカレーには欠かせません。

サフラン

サフランはその花のめしべで、ほのかな、独特の上品な香りをもち、料理を黄色く色づけます。10gのサフランを得るには1,500本以上の花が必要で、摘み取りからすべてが手作業で行われるなど、伝統的な製法にて製造されており、高価なスパイスとなっています。

シナモン

ほのかな甘みを感じさせる独特の香りとわずかに舌に残る辛みをもつシナモンは、世界でももっとも古くから知られているスパイス。厳密にいうと、日本で古来ニッキとして使われてきたものは、シナモンとは別の種類の木で、香味も若干異なります。

ジンジャー

3000年も昔から熱帯で栽培されてきた、歴史の古いスパイスのひとつ。西欧では乾燥させた状態で、料理よりも甘い味と組み合わせて使いますが、日本のしょうがとまったく同じものです。ヨーロッパではほとんど生育しないため、昔から乾燥品を利用する習慣だったようです。

ターメリック

ちょっと土くささを感じさせる独特の香りとほろ苦い風味で、黄色く着色するのに使われることも多いスパイス。カレーパウダーには欠かせません。カレーに添えるごはんを炊く時に加えてターメリックライスにすることも。

ディル

メソポタミアやエジプトで栽培されていたという歴史の古いスパイスで、さわやかでキリッとした強い香りとピリッとした辛みが特徴。種子は乾燥させてスパイスとして使われますが、葉は生のままで魚介類に使われることが多く、とくに北欧料理にしばしば登場します。

ナツメグ

甘い刺激性の香りと、まろやかなほろ苦さをもつスパイス。ナツメグといえば、まずひき肉、じゃがいもですが、他にも肉料理全般、各種野菜料理、卵・乳製品など非常に用途は広く、焼き菓子などの甘いものにもよく合います。

パプリカ

辛みのない唐辛子で、甘酸っぱさを感じさせる独特の香りと苦みをもっています。パプリカの色素は油に溶けやすいので、油を使う料理に加えると色が鮮やかに出ます。パプリカという名はハンガリーの言葉で、スペインではピメントンと呼ばれています。

フェヌグリーク

日本ではまだなじみがありませんが、世界各地で利用されているスパイスです。焦げた砂糖の香りやセロリにも似た独特の香味、苦みをもっています。用途も多様で、インドではカレー(カレーパウダーの主なスパイスの1つでもある)その他の料理に、アメリカではチャツネに、エジプトではパンに使われています。

フェンネル

ピリッとした風味と、ほのかに甘みのある芳香をもっています。古代ギリシアの時代から親しまれてきたスパイスで、西欧では生の葉や若い茎を使うことも少なくありません。生のものと区別するためフェンネルシードとも。豚肉や魚料理、また各種ソースやピクルス、パン、ケーキなど広い用途で使われますが、とくに魚のにおいや油っぽさを消す効果が大。ヨーロッパでは生の葉は「魚のハーブ」とも呼ばれています。

ブラックペパー

肉料理をはじめほとんどの“西洋料理”に登場するスパイス。ホールをそのまま使うのは肉やピクルスのつけ汁や煮込み料理など。たいていはペパーミル(コショー挽き)で挽いて使います。ホールのものを肉たたきなどでつぶして牛肉にまぶした「ペパーステーキ」は西欧ではごく一般的な料理で、ペパーの辛みと香りを堪能できます(ホールとパウダーの中間のあらびきタイプを使えば手軽にできます)。

ホワイトペパー

成熟したコショーの実の果皮を取り除いてから乾燥させたホワイトペパーは、おだやかな香りが魅力。香りもおだやかなので白身魚などの比較的淡白な素材の料理に向き、またホワイトソースのように白く仕上げたい料理にも欠かせません。

マスタード

ひと口にマスタードといっても、日本や中国では“辛さ”が求められるのに対し、西欧では辛さよりもその風味が重視され、辛みの少ないタイプのものを肉料理やソーセージなどに“たっぷり”つけて食べることが多いようです。ホールのものはマスタードシードとも呼ばれ、そのままピクルスなどに使ったり、その都度つぶしてステーキなどに。インドでは油で熱してカレーに使うことも。

ローリエ

ギリシア神話にも登場し、その清涼感のある芳香が古来人々の心をとらえてきたのでしょう。シチューやポトフ、カレーなど煮込み料理のほかに、魚料理、マリネやピクルスのつけ汁に使うことが多いスパイスです。風味が強いので、通常は1~2枚で十分です。

インド料理全般

アチャール

野菜や果物を油、塩、酢、砂糖、スパイスなどで漬け込んだ、インド風ピクルス。

カバブ(ケバブ)

香辛料をまぶした肉類、野菜などをあぶり焼き、または蒸し焼きにしたもの。串にさしたものがシシ・カバブ。調味したひき肉を串に巻きつけて焼いたり、レストランなどでは心棒を立てて肉を巻きつけて回転させながら焼くドネル・カバブもよく見かけます。中近東一帯で見られる料理。

ギー

水牛の乳から作ったバターオイルで、インドの料理には欠かせません。バターは加熱すると澄んできますが、これをさらに煮ると独特の風味になります。この澄んだオイル部分だけをこしたものがギーで、常温におくとクリーム状になります。とても高価なので大事な来客や特別の時だけ使うそうです。

ココナッツミルク

ココヤシの実の胚乳をしぼった乳白色の液体で、インドに限らず東南アジア各地でさまざまな料理やデザートに使われます。独特の風味で、最近は日本でも人気が高くなっています。

コフタ

ミートボールのこと。

サブジ(バジ)

水分を加えないで煮るスパイシーな野菜の炒め煮料理。ベジタリアン(菜食主義者)が多く、野菜をよく食べるインドではごく一般的な料理です。

サモサ

炒めたじゃがいもなどの具を小麦粉で作った皮で三角すいの形に包んで揚げたもの。インドでは、チャツネを付けてスナックとして食べます。具にはひき肉を入れたり、じゃがいもの代わりにカリフラワーなどを使うこともあります。

サンバル

豆と数種の野菜をスパイスで煮込んだ南インドの定番菜食スープで、日本でいうところのみそ汁的な存在。

タマリンド

アフリカ原産の熱帯性のマメ科の植物。さやの中に甘酸っぱい実が入っています。インドで料理に使う場合、乾燥させたものを湯でもどしてつぶして、その汁ごと酸味つけなどに使います。

ダル

豆のこと。宗教上の理由からベジタリアン(菜食主義者)の多いインドでは、豆は貴重なたんぱく源。ベジタリアンに限らず、さまざまな料理に使われます。チャナ・ダル(ひよこ豆)、マスール・ダル(レンズ豆)など種類も豊富です。

チャツネ(チャタニ、チャトニ)

野菜や果物に香辛料を加えて漬けたり、煮込んだりして作った調味料で、見た目にはジャムのようなとろりとした固めのソース状態。インドの料理にはなくてはならないもので、箸休め的になめたり、揚げものにつけたり、カレーの薬味にします。生の素材を使うタイプと加熱して作るタイプがあり、味も甘いもの、酸っぱいもの、辛いものとさまざまです。

テッカ

骨をとった、またはあら挽きしてまとめた鶏肉を香辛料などで調味して焼いた料理。

パコラ

ころもに豆の粉を使ったインド風野菜のてんぷら。ころもにしょうがを加えることもあります。

パニール

カッテージチーズのこと。インドでは家庭で手作りすることが多いそうです。

パンチホロン

ホールのクミン、マスタード、フェンネル、フェヌグリーク、ニジェラ(ブラッククミン・くろたね草)の5種類のスパイスを混ぜたもので、熱した油に入れて香りを出してさまざまな料理に使います。パンチとはサンスクリット語で5、ホロンは油に入れるという意味。フェヌグリークはマメ科のスパイスで、見た目は筋のある茶色っぽい粒々。ちょっと甘いセロリのような香りで、カレーパウダーには欠かせないスパイスです。またニジェラは見た目はゴマに似たスパイスで、加熱すると独特の芳香を放ちます。

ビリヤニ

インドのイスラム教徒にその起源を持つと言われている炊き込みごはんで、インドやその周辺国で食べられています。スパイスと米、肉、魚、卵や野菜などから作られ、結婚式などのお祝いの食事として欠かせない料理であるとともに、屋台などで気軽に食べることもできる国民食的な存在。

プラオ(プラウ)

サフランで黄色く仕上げたスパイシーな炊き込みごはんの総称。またプラオにはバスマティという香りのよい良質の長粒米を使うことが多いようです。プラオの一種がビリヤニ。ラム肉を加え、サフランで黄色く仕上げたスパイシーな炊き込みごはんです。ただ最近は鶏肉や魚を使うことも多くなっています。お祝いやおもてなしには欠かせない料理。

マサラ

スパイスを混ぜ合わせて挽いたもの。時には調味料や香味野菜を加えることもあります。どのスパイスをどのくらい使うかはその都度変わり、とくに決まりがあるわけではありません。ガラム(garam)は熱い、温かいの意、ガラムマサラはからだを温める混合スパイスということです。

マスタードオイル

からし油。黒がらしのタネで作る、刺激性のある油。

ミールス

南インドで食べられている、米を主食とした、複数のカレーや副菜を伴った定食スタイルのごはん。

ライタ

生またはゆでた野菜に香辛料、ヨーグルトを加えて調味した、オイルを使わないサラダ。

ラッサム

南インドで日常的に飲まれているスープのひとつで、酸味と辛みがきいているのが特徴。ミールスの形で出されることが多いようです。

ライス・ナン・ドリンクなど

アッパム

米粉とココナッツミルクなどを発酵させて作った生地を丸く焼いたもので、主に南インドで食べられている軽食。

イドゥリ

米の粉とレンズ豆を粉にしたもので作る、平たいカップケーキのような形の蒸しパン。主に南インドの食べものです。

シカンジ

ライムを絞って水で薄め、ちょっとスパイスを効かせたさわやかな飲み物。

ダヒ

ヨーグルトの一種。

チャイ

茶葉に、カルダモン、シナモン、クローブ、ジンジャーなどのスパイスを加えて煮立てた、甘いインド風ミルクティー。

チャパティ(チャパティー)

北部インドではもっとも一般的な、大きくて丸いやわらかいおせんべいのような形のパン。全粒粉(ベンガル語でアタ)の小麦粉を使い、全く発酵させず(ほとんどのパンはイーストなどで発酵させる)、粉と塩少々と水だけで作ります。たいていは家庭で、鉄製の丸みを帯びた鍋または鉄板で焼きます。チャパティはヒンディー語、ベンガル語ではルティ。

ドーサ

米の粉とレンズ豆の粉で作るパンケーキ状のパン。

ナン

こちらも北インドの代表的なパンで、大きな木の葉のような形。チャパティと違って精製した小麦粉を使い、生地を発酵させてタンドールという窯で焼きます。

バスマティライス

日本米に比べて細長く、香ばしい香りとパラパラとした食感が特徴のバスマティライス。粘り気がなく、インドやパキスタンなどで多く食べられている汁気の多いカレーとの相性が抜群です。スパイスをきかせた炊き込みごはんの「ビリヤニ」や「プラオ(プラウ)」には欠かせない米。

パラータ

全粒粉にギーを加えて、何層かに折りたたんで焼くパンケーキのようなパン。ヨーグルトやライタに添えて出されることが多いようです。スパイシーに調理したじゃがいもを詰めたもの(アル・パターラ)やカリフラワーを詰めたもの(ゴービ・パラータ)もあります。

プーリ

主に北インドで食べられる揚げパン。チャパティと同じ全粒粉の生地を薄い円形にのばし、油で揚げて作られます。揚げたては丸く大きく膨らんでいるのが特徴。

ラッシー

ヨーグルトと水を混ぜ、スパイスを効かせた飲み物。

インドの料理器具・器

カルハイ(コライ)

中華鍋によく似た(もう少し深めの)鍋で、揚げもの、炒めものなど、たいていの料理はこれ1つで間に合うそうです。

サドルカーン

スパイスや香味野菜をすりつぶす石臼。この他にも、石のすり鉢状のものや、石板(シル)と石棒(ノラ)という形のものもよく使われます。

ターリ

一人分ずつ料理を盛る金属製の器。真ん中にごはんやパン、まわりにボウルに入れた数種の料理やチャツネなどを並べます。右側には塩、ライム、青唐辛子が添えられることが多いようです。食べる時は、このターリの上で料理とごはんを混ぜたり、パンにつけたりするのがマナーとされています。

タンドール

粘土製で壷形の半地下に埋めたタテに細長いかまど。底に炭火を入れて、かまど自体を熱し、鶏肉(長い鉄串にさす)やナン(壁面にはりつける)を焼きます。

※掲載情報は2020年11月時点のものです。

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