世界のカレー スリランカ

世界のカレー スリランカ

スリランカはインド南端よりもなお南の赤道の近く、インド洋上にある島国です。セイロン島と言ったほうが、なじみ深いかもしれません。海に囲まれているので湿度は高めですが、南インドより南に位置するにもかかわらず、気温は最高30℃、最低で20℃の間で、南インドよりは穏やかです。小さな島ながら、中央部には山があり、その周辺にはヒル・カントリー(丘陵地帯)が広がり、北部の平野では稲作が盛んです。

スリランカのカレー紀行

2〜3品のカレーとごはんが基本

スリランカは昔、セイロンと呼ばれていた国で、紅茶でおなじみ。南インドにとても近いので、農産物もスパイスもほとんどインドと同じです。メニューの基本はインド同様にスパイスの効いた辛いカレーで、大皿に盛られたごはんを中心に数種類のカレーを用意して、各自取り分けて食べるというもの。皿数とその内容は生活水準によっても違いますが、1食に1種類のカレーだけということはまずありません。毎食ごとにスパイスを変え、また材料を変えて、2〜3種類のカレーをそろえます。主食は米ですが、豆の粉や米粉でパン(パンケーキ)や麺を作って味わいの変化を求める食生活は他のアジア諸国と同様です。

ほとんどが仏教徒なので牛肉も食べる

東南アジアでは、宗教上の食禁忌が人の暮らしぶりを変えてしまうほどの大きな力をもっています。ただスリランカでは、一部のヒンドゥー教徒を除いてほとんどが仏教徒のため、食生活上の制限がなく、その食生活はにぎやか。肉の中では鶏肉のカレーがごちそうとされます。周囲の海から獲れる魚類は、海辺で暮らす人たちのよいたんぱく源で、カレーの他、カツレツのようにしても食べます。

スリランカ式スパイスの使用法

スパイスの使い方は、ホールタイプのものをそのつどつぶして使います。各家庭によってよく使うスパイスは異なりますが、一般的によく使われるものは、コリアンダー、クミン、スイートクミン(アニス)など。肉や魚のカレーに使う時には、スパイスをローストしてからつぶし、野菜のカレーにはローストせずにつぶして使い生の爽快感を味わう、というのがスリランカ式です。

スリランカのかつお節?モルジブフィッシュ

島国の日本にかつお節があるように、スリランカにはモルジブフィッシュというものがあり、見た目も日本のかつお節に似ています。かつお節に似た塩けの多い干し魚で、石うすで砕くなどして、鶏と魚以外の料理の味付けに用いられます。燻煙して作られ乾燥しているので、高温多湿の地域でも保存が利きます。モルジブ共和国の特産品でスリランカのカレーには欠かせません。

スリランカのカレー

ワァンバトゥ・モージュ(ナスのカレー)

油で揚げたナスを煮込んだカレー。強い辛みをライムの酸味がやわらげ、さわやかな風味にしてくれます。モージュは「少し酸味のある」の意。

ワァンバトゥ・モージュ(ナスのカレー)

パリップ・マールウァ(豆のカレー)

インド同様スリランカでも、豆類は食卓にしばしば登場する食材。レンズ豆のカレーも、よく作られます。豆のやわらかさ、辛さの加減は好みで。

パリップ・マールウァ(豆のカレー)

マルーン(キャベツと青唐辛子の蒸し煮)

カレーとは少し違いますが、玉ねぎとココナッツがかすかに甘く、ライムの酸味が効いています。

※掲載情報は2020年11月時点のものです。

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