ハウスの出張授業

スパイスから見る現代の食事情(その1)

これまでのテーマでは、暮らしの中から、あるいは世界の歴史の歩みから、スパイスについて広く考察してきました。また、そのスパイスは植物であることも学びました。
このテーマでは、「スパイスと聞けば料理に使われるもの」と誰もが思う通り、料理とスパイスの関係から、主要産地、健康とのかかわりまで、食という視点からスパイスを見ていきます。
そして、そこから、日本、あるいは世界の食事情についてまで考えを深めていければと思います。

世界各国のスパイスを使った料理のご紹介

世界で愛されるスパイス料理大集合

アップルパイ(アメリカ) シナモン
カプチーノ(イタリア) シナモン
グーラッシュ(ハンガリー) パプリカ
キムチ(韓国) 唐辛子
麻婆豆腐(中国) 花椒・唐辛子
トンボーロー(中国) 八角
トムヤンクン(タイ) 唐辛子・レモングラス他
ガスパッチョ(スペイン) ガーリック・ブラックペパー
チキンカレー(インド) クミン・唐辛子・ターメリック他
パエリア(スペイン) サフラン
クラムチャウダー(アメリカ) タイム

<教材冊子『スパイスから世界が見える』より転載>

上記表では、世界各国のスパイスを使った料理をいくつかご紹介していますが、ここに掲載した料理はほんの一部。世界ではスパイスを使った料理がとても発達しています。さまざまな料理にいろいろなスパイスを使っています。表の中に、日本ではあまりお馴染みではない料理もありますね、食べてみたいですね~。

スパイスを使った日本料理~香辛料、薬味の世界

●日本料理にはスパイスを使った料理がないのかといいますと、そうではありません。
概して「日本の料理はスパイスを使わない」といわれていますが、香辛料薬味といった言い方で、料理の味つけとして、あるいは、味を引き立たせるものとして、日々、多くの料理に使われています。たとえば、
▽すし⇒わさび ▽鯖の煮付け⇒しょうが ▽うなぎ⇒さんしょう ▽うどん、焼き鳥⇒七味唐辛子(ミックススパイス) ▽鮎の塩焼き⇒たで酢 等など

●江戸時代には‘こしょうめし’という、いかにも日本的な料理もありました。
江戸時代の代表的な料理本の一つ『名飯部類』に‘こしょうめし’として登場しているこの料理は、炊きたてのご飯にコショーを振り、だし汁をかけて食べるという、シンプルだけれど、コショーの風味を存分に味わえるもの。

●なぜ、概して「日本料理はスパイスを使わない」といわれているのでしょうか?

  • わさび、たで等に代表されるように、使っているスパイスの多くが日本独特のものである
  • 最後に薬味的に使うことが多いなど、世界の国々と比べ、使い方が日本独特である
  • 歴史的に見て、スパイスに対する思い入れが弱い
  • スパイスと呼ばれるものと、日本の香辛料や薬味は別のものと思っている日本人が多い

などの理由や特徴があるようです。なんとなく、思い当たる所がありますよね。

●日本の味にもっとスパイスを・・・
日本料理のプロの世界では、料理にもっとスパイスを取り入れてみようとしています。たとえば、
▽あんかけ仕立ての‘あん’(葛でとろみをつけたあん)⇒カレー風味に(カレーパウダー使用)
▽潮汁(鯛頭の塩味の汁物)⇒コショーを振る
▽天ぷらの塩⇒カレーパウダーを混ぜたカレー塩
など。スパイスは、日本と世界の、味や香りの融合を演出してくれます。

スパイスで、おいしさアップ!

普段食べているこの料理に、このスパイスを使うと、いっそうおいしさが引き立ちます。
それぞれのスパイスの特徴や特性を考えながら、試してみましょう。
○トーストにシナモンシュガーを振って、シナモントースト
○カレーは仕上げにガラムマサラを振ると、より香り高く
○ハンバーグやミートローフなどの挽き肉料理には、ナツメグを入れて練り込む
○カレーやシチューには、煮込む時にローリエを使う
「スパイスの魅力、発見!(その2)」スパイスの使い方の工夫~【特性d】

各国の料理とスパイスの関係について

東南アジア・インド料理

タイ、ベトナム、インドネシアなど東南アジアの国々、そしてインド。[エスニック料理]を代表する国々は、料理の味つけにスパイスを多用しています。

背景

料理とスパイス

中国料理

中国四千年の歴史が育んだ食文化、料理よりも長い歴史をもつスパイスの薬効、医食同源の思想が根づいています。

背景

料理とスパイス

メキシコ・中南米風料理

メキシコ、中南米の国々の料理には、唐辛子類が活躍。とびきり辛くてスパイシーです。

背景

料理とスパイス

南欧料理(地中海に面する国々の料理)

地中海に面するということで共通する国々(地域)=スペイン、南フランス、イタリア、ギリシャ、トルコ、北アフリカなどは、強い香りのスパイスで料理の味を引き立てています。

背景

料理とスパイス

フランス料理

フランスは世界でもっとも食文化の豊かな国の一つ、香りのスパイスで料理に繊細な味わいを加えています。

背景

料理とスパイス

北・東ヨーロッパ風料理

ドイツ地方や東欧・北欧は、気候的な条件もあり、食生活は質実剛健。料理にはドライで個性的な香りをもつスパイスがよく合います。

背景

料理とスパイス

上の表は、世界の代表的な料理にスパイスがどのように使われているのか、その国々の料理とスパイスの関係を、歴史や伝統や地理的な背景からの影響もあるため、含めて一覧にしています。
オリジナリティ豊かな各国の料理は、スパイスととても密接な関係にあります。

日本国内の各国料理の広がり

ご紹介した各国の料理、スパイスとは密接な関係にあり、その国の料理になくてはならないものであることがわかりました。また、スパイスにはあまり縁がないと思っていた日本の料理にも日常的に使われていることをあらためて知りました。

その私たち、今や日本料理だけではなく、

海外の現地でその国の料理を食べたり、
日本国内において、各国料理のレストランや食堂でその国の料理を食べたり、
と、世界各国の料理を味わう人々や機会が増えています。
(※海外旅行者の増加、日本国内の各国料理店の増加)
また、各国の料理が紹介され話題になる中、その影響を受けてか、家庭の料理にもその国の味や香りを取り入れてみようとする人たちも増えてきています。家庭で作る料理の幅が広がっています。

このような状況を見ると、私たち日本人の食生活にも各国料理の影響が徐々に浸透し、グローバル化してきているといえそうです。そして、そんな中、スパイスもなくてはならない存在になってきているようですね。

ちょっと余談

カレーからはじめる国際理解の体験学習(講義&実習)として、実施ご希望校にインド人講師を派遣し、インド文化やカレーのお話や体験を行なっています。
インド人講師が「インドの人を見たことがありますか?インドのカレーを食べたことがありますか?」と尋ねると、多くの児童・生徒の皆さんが「ある」と答えます。それは、近くのインドカレーのレストランでの体験談が多く、インドカレーのレストランがいかに日本国内に多いかを知ります。

参考データや詳細解説

関連リンク

page top