ハウスの出張授業

歴史の中のスパイス(その1)

「スパイスの魅力、発見!」では、スパイスとは一体どんなもので、どのような役割があり、また使う時の工夫についても、スパイスの働きや効用、特性などを考えながら、学んできました。
さて、この「歴史の中のスパイス」では、一変して、世界の歴史に目を向けます。
歴史の舞台のさまざまな場面に登場してくるスパイス、なぜなのか、どのような歩みをたどったのか、年表上の事柄を追いながら、スパイスについて、より視野を広げて考察していきましょう。

スパイスは貴重品だった!

ヨーロッパの国々は、日本と同じく、コショーやシナモン、クローブなどのスパイスを穫ることができない地域です。

しかし、古来より、スパイスに対する‘渇望(思い入れ)’は大変強く、宗教戦争といわれる十字軍の遠征も、スパイスの獲得という目的もあったといわれています。
また、スペインやポルトガルによる大航海時代も、目的はスパイス(特にコショー)。
その後もヨーロッパ各国では、スパイスを巡る争い(争奪戦)が長く続きます。

スパイスを巡る争い

なぜ、どうして、ヨーロッパの人々はそこまでスパイスを渇望したのでしょうか・・・
▼もともとハーブ系のものしかなかったヨーロッパにおいて、スパイスは、その香りの魅力はもちろんのこと、冷蔵庫がなかった時代に、食品、特に肉の保存に役立つ「スパイスの防腐」、「抗菌」などの効用という実用的な面が大きな魅力でした。
▼中でもコショーは、香りづけ・臭み消し、辛味づけという働きを持ち、防腐作用もあり、大変重宝されました。

中世の頃のコショーの場合

スパイスの王様コショー

今まで「コショー」と総称してきましたが、
コショーとはペパー(Pepper)のこと。
コショーには大きく分けて、
・ブラックペパー(黒コショー)
・ホワイトペパー(白コショー)
の2種類があります。この2つの名前は、
すでに何度も登場してきていますから、ご存知でしょう。

ただ、日本の家庭では昔からコショー(胡椒)といえば、<ブラックペパーとホワイトペパーをバランスよくミックスし、粉末にしたもの>をさしていますので、少し感覚が違うかもしれませんね。

このコショーは、熱帯性の多年生つる性植物。インド南西部原産。
他にマレーシア、インドネシア、ブラジル、ベトナムなどが主要生産国。
私たちの食卓には身近なスパイスですが、日本の気候では栽培ができません。

スパイスの歩みをたどろう。[コショー中心]<年表>

とても貴重で、高価だったスパイス。
そのスパイスは、なんと紀元前から、そして現代に至るまで、歴史の舞台のさまざまな場面に登場してきます。ヨーロッパだけではなく、インドでも日本でも、そしてアメリカでも。いつの時代も、世界中で、スパイスは人々に求められるものだったのでしょう。
スパイスをめぐって、争いが起こり、旅が繰り返され、競争が始まりました。歴史を動かしてきたと言っても過言ではなさそうです。
さあ、スパイスを求める世界の歴史を紐といてみましょう。

<このページは、コショーを中心に年表形式でまとめています。他のスパイスについても、一部のものは、歴史上のスパイスこぼれ話(それぞれの話題はこの年表上からもリンク)でご覧いただくことができます。>

年表

紀元前5世紀

世界の歴史
[コショー中心]

【古代インド】
■大長編叙情詩『ラーマーヤナ』(ラーマー王行状記)に‘塩とコショーで食べる’食べ物の記載あり
■インド南西部マラバル海岸でコショーの栽培開始

歴史上のスパイスこぼれ話

紀元前4世紀

世界の歴史
[コショー中心]

【古代ギリシャ】
■医学の父・ヒポクラテス(BC460~375)が記す
コショーと蜂蜜と酢を混合すると婦人病によく効く」
■博物学者テオフラストスが『植物誌』にpeperiという言葉でコショーを記載

歴史上のスパイスこぼれ話

408年

世界の歴史
[コショー中心]

【古代ローマ】
■古代ローマ人はコショーを好み、肉以外に蜂蜜にもコショーをふって食べた
■インド経由で東洋の香辛料がヨーロッパに輸出される
■ローマ人はコショーを求めてインドのマラバル海岸に。ローマ帝国の皇帝ドミティアン(AD51~96)は戦略物資としてコショーを貯蔵していた
■ゴート王アラリック、ローマを略奪※1

歴史上のスパイスこぼれ話

700年代

世界の歴史
[コショー中心]

【日本(奈良時代)】
正倉院の御物の中に、コショー、クローブ、シナモンが残っている※2

1204年

世界の歴史
[コショー中心]

【中世ヨーロッパ】
■イスラム教徒のアラブ人はペルシャ湾からインドのマラバル海岸に向けて数多く出航。その海岸部は「胡椒海岸」と呼ばれた
■イスラム教徒のアラブ人が東洋の交易ルートを支配するようになり、コショーが流通しなくなってしまったが、ベネチアの商人たちがアラブ人と交易関係を結び、輸入を独占
■十字軍を率いたベネチア人がコンスタンチノープルを攻撃して略奪 ※3
その後、ベネチアがコショー貿易を支配し続けた ※4

歴史上のスパイスこぼれ話

1299年

世界の歴史
[コショー中心]

■マルコ・ポーロ
『東方見聞録』にコショーの記載あり ※5
■中国は元や明の時代にコショーをたくさん輸入

1492年

世界の歴史
[コショー中心]

【大航海時代】
■クリストファー・コロンブス
スペインからコショーを求めて西へ出航。その後の航海にてアメリカ大陸を発見

歴史上のスパイスこぼれ話

1498年

世界の歴史
[コショー中心]

■ヴァスコ・ダ・ガマ
ポルトガルから出航し、カリカットに到着。インド航路の発見 ※6

歴史上のスパイスこぼれ話

1500年

世界の歴史
[コショー中心]

■ペドロ・アルヴァレス・カブラル
南アメリカ大陸ブラジルを発見。翌年、スパイスをのせて帰国

1519年

世界の歴史
[コショー中心]

■マゼラン
スペインから世界周航へ出発~1522年

1543年

世界の歴史
[コショー中心]

■ポルトガル人が種子島に。鉄砲伝来(室町時代)

歴史上のスパイスこぼれ話

1549年

世界の歴史
[コショー中心]

■フランシスコ・ザビエル日本来航

1600年

世界の歴史
[コショー中心]

【帝国主義(重商主義)の誕生】
■イギリス 東インド会社設立

1602年

世界の歴史
[コショー中心]

■オランダ 東インド会社設立
(その後、フランスの東インド会社設立、オランダの西インド会社設立が続く) ※7
■イギリスとオランダの競争がコショーの価格低下をもたらす ※8

歴史上のスパイスこぼれ話

1797年

世界の歴史
[コショー中心]

■アメリカ人のジョナサン・カーンズがスマトラ島で偶然にコショーを発見。これを機にアメリカもコショー等のスパイス獲得に乗り出す
→各地で生産されるようになり、価格低下

歴史上のスパイスこぼれ話

1853年

世界の歴史
[コショー中心]

■ペリーが浦賀に来航

1868年

世界の歴史
[コショー中心]

■明治維新

<教材冊子『スパイスから世界が見える』参考>

注釈

関連リンク

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